東方輪廻殺
第一話 悪夢

「ん……むぅ…?」

ふと目が覚めて辺りを見渡す………見知らぬ場所だ


「…は?…何処此処?」

自分以外誰も居ない森の中
当然その疑問を口にしても答えは返ってこない


「………私今まで何してたんだっけ?」

目が覚めたばかりで寝ぼけてしまってるのか記憶が曖昧だ
眠る前の事を何一つ思い出せない


「こうしちゃいられない…そうね…とりあえず食べ物を   ガッ!?」

急に激痛が走り思考が停止する

それと同時に何処からか声が聞こえた

「やったか!?」
「いや…まだ生きているようだ トドメを刺すぞ」
「了〜解」

その後レーザーで撃たれ胸に激痛が走る
ようやく私は撃たれた事を自覚した

(…っ!?殺される!?逃げなきゃ…!)
「ぐぅっ!」

逃げようと動くも撃たれた痛みで転んでしまう

(くそ!…何で私がこんな目に…)
(痛い…痛い…立ち上がれない…うぅ…死にたくない…!)

「今度こそやったか?」
「帰還するまで油断するな…仕留めたかどうかちゃんと確認するんだ…慎重に行くぞ?」
「了〜解」

私を撃ったであろう人物達がこちらへ来る会話が聞こえる

「う…うぅ………痛い…くぅっ……」

逃げられない……殺される……
怖い……死にたくない……助けて……
そんな恐怖で一杯だった

「…驚いたな…まだ生きていたぞ」
「じゃあ今度こそ…これで終わりっすね」

再度銃を向けられそこからレーザーが放たれる
私は頭を撃ち抜かれ そこで意識は途絶えた




















「はっ!?」

目が覚める
撃たれた箇所を見るも傷も痛みも無い
…夢だったのだろうか?


「嫌な夢…」

自分が生きている事に安堵しつつ辺りを見渡す


「………どういう事?」

またもや見知らぬ景色だった…今度は廃墟の中だろうか?
あちこちに瓦礫があり古びた工場とかにありそうな鉄屑が無造作に積み上げられている
先程の森のような自然は一切感じられない
森との共通点は精々誰も居ないってところか


「………まだ夢の中だったりするのかしら?」

不安になる
まだ自分は悪夢の真っ最中なのだろうか

「…!……何か…来る?」

ふと気配を感じる 生き物の気配だ
何かは知らないが確かに生きている何かがこちらへ向かっているのを感じた

(とりあえず隠れよう…話が通じる相手が来るわけでも無いし…)

森で殺された事は予知夢か何かの警告なのだと決め ひとまず隠れる事にした

「………………っ!」

じっくりと気配を待つ そしてようやくその姿が見えた
思わず声を出しそうになったが何とか押さえ込む

(な……何なの…アレ…)


やって来たのはドロドロの何かだった 話なんか通じそうに無い相手である 果たしてアレは生き物なのか?
音も無く徘徊するソレは静かに…だが決して遅くない速度で動き回る

(気持ち悪…)

ドロドロは先程まで自分が居た場所まで移動し そこで止まった
そしてドロドロは段々と膨らみ始めた まるで風船のように

(何なの…早く去って欲しいんだけど……)

とっとと居なくなって欲しい…そう願いつつ様子を見る

そしてドロドロの何かは突然弾けた
弾け飛んだドロドロの一部が四方八方に飛び散り 当然こちらにも飛んでくる


「うわっ!」

何とか飛んできたドロドロを避ける

…が飛沫が少しかかってしまった その瞬間焼けるような痛みが走る

「あああぁぁっ!!!」

飛沫がかかった箇所は若干溶けていた
思わず痛みで叫ぶ

「!!……ひっ!」

声に反応したのかあちこちに散布したドロドロの何かが一斉にこちらに襲い掛かる

「ああぁぁああぁあっっっ!!!がっ…ぁあぁ!!」

自分の身体はあっという間に飲み込まれ思考が苦痛で支配される

そしてフッと痛みが消える
(嫌……死にたく…無いっ!)

そこで意識は途絶えた




















「くはぁっ!?……はぁ……はぁ……あ?」

また目が覚める 森で撃たれた傷もなければ廃墟で溶かされた痕も無い
五体満足で痛みも無い健康体だ

「何…なのよ…もう…」

興奮しつつも安堵する あれは夢だったのだと決め付ける
そして辺りを見渡した

「はぁ……ホント……最悪な夢だったわ」

今度はちゃんと見覚えのある場所だった

昨晩見つけた小汚い廃屋で
明らかに誰も使ってない小屋だったので寝床としてお邪魔した場所だ

「ま、現実も現実で最悪だけどね…はぁ…」

憂鬱になる
引き続き食糧の確保と安全に暮らせる住処を探さなければならないのだ

「………とりあえず食べ物を探さないとね」

動けなくなる前に食糧の確保をしないと そう決断し小屋を出る

「………………嘘でしょ」

私は目を疑った
小屋を出ればそこは昨晩入った山の中___なんて事は無く目の前には海が広がっていた

しかもこの海 明らかに異常 真っ黒なのである
昼なので空は明るいのにも関わらず
一切の光を反射せず うねうねと蠢いている不気味な海が広がっていた

「どういう事なの…」

ふと振り向けば先程の小屋がぽつんと一軒建っているだけ
30秒もあれば一周できそうな小さな小さな小島
そんな中一人此処に居るのである

「まだ……夢を見てるのかしら私……ハハ…ホント最悪な夢…はやく覚めて欲しい」

遠くを見渡せど他の島なぞ欠片も見えず
海を見ても黒くて海中がどうなってるのか想像もできない
真っ黒い水なんて気味が悪いので触りたくもなかった

小屋の中は使えそうな物は何一つ無く このままでは飢え死ぬ事が明らかだった
途方に暮れる

「こんな…何も無いところで…どうしろって言うのよ…」

誰かに問い掛けるように一人呟く 当然返事は無い

(不気味だから嫌なんだけど……)

このまま何もしないのは癪なので
恐る恐る黒い海に触れる事にした

ドロドロに溶かされたあの夢がフィードバックし少し恐怖する

「……っ!」

海に触れる














「………はぁ〜…」

痛みも何も無く 確かに水と呼べる感触がそこにあった 冷たい水の感触
触れた部分を見るも何も異常は無く ビビってたのが何だか馬鹿らしくなった

「こんなのでこんなにビクビクしちゃって……ハハハ……」

馬鹿だなぁ と自分を笑う

「……でもこの現状は笑えないわね…」

黒い海が触っても安全なのがわかったのは良いがそれだけなのだ
極小の無人島で一人という状況は変わらない

「この黒い水……飲めるのかしら?……飲みたくないなぁ……」

両手で水をすくい上げてにおいを嗅ぐ  …が臭いは無かった

(やっぱり飲まないでおこう……毒かもしんないし)

そう思いすくった水を捨てる そこで両手に違和感を感じた



両手を見ると………何かデカイ蟲がくっ付いていた 黒い水を吐いている
何やら血を吸ってるような…そんな嫌な感覚があった

「うわっ!うわわわっ!」

思わず腕を振って振り落とそうとする その瞬間両手から蟲が大量に出てきて飛び回る
こんな大量に出てくるとは予想できなかったのでさらに混乱しパニックになってしまった

「ああああっ!!ななななな何!?何なのよ!?」

「ひゃっ!?」

無我夢中で走り回るも小さすぎる孤島に逃げ場所なんか無く
盛大に転んで海に飛び込んでしまった


(しまった………!早く上がらないと!)

すぐそこに孤島があるにも関わらず黒い海は非常に深かった

目を開けると何も見えないと思っていた海の中がよく見え そして驚愕した

(何…なの…)

海中には先程の蟲がうようよして さらに見た事も無いデカイ魚(?)や鳥(?)まで居た
そして海底にはまるでどこかの地上を映したかのような…草原や森、山に村なんかが見えた

「ゴボッ!」 (ま、まずい!呼吸が…!)

あまりの光景に思わず息を吐く 急いで孤島に上がった

「はぁっ……はぁっ……うぅっ…」

島に上がった途端蟲の群れが吸血しようと襲い掛かる
さらに海中からも襲われてるらしくもう動く力は無かった

「くそ……ここまで…か……ガハッ!?」

今度は胸を貫かれた
振り返ると海中で見たデカイ魚が海面から顔を出していた 触覚(?)がこちらへ伸びている
どうやらアレの触覚らしきものに貫かれたようだ

(夢なら……これで終わり…ね……現実なら……とんだ人生だったわ…)

その後一瞬にして体液を吸われる
そこで意識は途絶えた




















「…はっ!?」

目が覚める

「続けざまに…殺される夢……これは何かの前触れなの…?」

こうも連続して悪夢を見る事になるとは...
そう思いつつ自分の身体を調べる

「………せめて何らかの傷痕があれば少しは納得できそうだけどね…」

身体はやはり無傷だった どこにも痛みは無い

「いや、あったらあったでまた混乱しちゃうか…ハハ…」

独り苦笑しつつ辺りを見渡す___見覚えのある場所だ

「…妖怪の山…?いや…私は…」

幻想郷からは追放された筈……ありえない

「私が幻想郷に居る事はありえない……つまり…また……いや、まだ夢の中ってわけね…」

まだこの悪夢は終わっていない その事に酷くがっかりした

「まぁ今までと違ってわけのわからん場所よりかはマシか」

周囲を警戒しつつ徘徊する  やはり此処はあの妖怪の山のようだ

(妙ね……妖怪の気配どころか動物の気配も無い…)

また一人か……そう思いまたも落ち込む


「おいお前!何者だ!どこからこの山に侵入した!答えろ!」

不意に声が聞こえる 振り返るとそこには一体の鴉天狗が居た
身長が高い男の天狗だ 翼がかなりでかい事から相当強い方だろう 隙無く近づいてきた
こちらは見覚えが無い 覚えのある天狗は文や天魔等くらいしか居ないから当然と言えば当然か

「私?」

「あぁそうだ…此処は人間が立ち入るのは禁止されている…どうやって此処まで来た?」

「知らないわ…いつの間にか此処に居たもの」

「………」

正直に返答するも天狗は疑いの目を向け警戒を強める
そして私も警戒は解かなかった 目の前に天狗が居るのに相変わらず生き物の気配は感じないからだった

「お前……名は?」

天狗が問う

「そういうのを尋ねる時は自分からって聞いたけど?」

「侵入者の立場でよく言う…名乗りたくないなら構わん」

「あらそう…こっちも聞きたい事があるけど良いかしら?」

「何だ?」

「貴方…気配を感じないけど…どういう事なの?」

「ふん……気配を感じないか…それはお前が狂ってるからだろう」

狂ってる?私が?

「私のどこが狂ってるのかしら?」

「………っ!」

問い直すと天狗は驚いたような顔をし少し距離を開けた

「…どうしたの?」

「お前は人間だと思ってたが…違ったようだな…」

「………私は人間よ?あんた等と同じにしないで」

「そんな邪気を発してなお自覚してないのか?」
「それに誰がお前を妖怪だと言った?……お前は___」


化け物だ    そう聞こえた途端に両腕が切り離された


「がぁっ!?な……!?」

「お前はヒトでも妖怪でも無い…お前は危険な"化け物"だ 排除せねばならん」

痛みは続く 四方八方から切り刻まれる
気づけば無数の鴉天狗に包囲されていた

「…!いつの間に…」

「最初からだ 我々は正体不明の何かにたった一人でどうにかしようとはせんよ」

「う……ぐぅぅ………!!」

風の刃は止まることなく自身を切り裂いてゆく
とうとう立つ力も無くなり倒れてしまった

「皆!トドメだ!」

その合図と共に一斉攻撃が始まる

「博麗の姿をした化け物か…不吉だな…」

そんな声が聞こえた直後意識は途絶えた




















「…っ!」

目が覚める

「………化け物…か…」

涙目になりつつも身体を調べる  無傷で痛みもない
そして周りを見渡した まだ悪夢が続いていない事を望みながら…

「…え?」

今度も見覚えのある場所だった しかも今度は

「博麗……神社……?」

自分が生まれた場所でありそして追放された場所である博麗神社の境内だった










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あとがき

第一話終了 すげーだらだらで意味不明ですねw

てか一話でいきなり4回も死ぬ主人公なんてそうは居ないでしょう

まぁいいさ こんなのもアリだろう 一応言っておきますが夢じゃ無いです

でも現状じゃ主人公と同じで意味☆不明なのは変わらんので第二話は説明回になるかも

とりあえずまずは理不尽に禍たんをぶち殺したかった

怯えたり慌てたりする禍たんが書きたかっただけですw

次からはいくつかネタも仕込みたいですなぁ…何時までもこんなドロドロな内容だと笑えないよね?

それじゃ何時まで続くか…完結できるかどうかは知りませんが 次話あとがきで会いましょう


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