東方輪廻殺
第十話 不幸

「……ん…うぅ……」

軽い呻き声を出しながら目を覚ます霊禍

「……ここは?」

見知らぬ場所だ 誰かの部屋のようだが…
壁は木でできており形が整っていない…まるで大木に空洞を空けてそのまま部屋にしたような感じだ
机らしきものの上には喰いかけの果物が幾つか散乱しており
窓らしき所に可愛らしいウサギの頭が干されている
此処で言うウサギの頭とは動物の兎の生首というわけではなく
デフォルメされた…作られたウサギの頭だ
ベッドの上からでは解りづらいが 覆面か何かだろうか?

「………そう…私は…また死んだのね…」

私はあの異空間での事を思い浮かべる
四方八方に強大な敵の群れ…そして…

<お前などどうでも良い>

「うっ………うぅ……」

リフの無慈悲な言葉に思わず泣いてしまう…
味方だと信じてたのに…信じたかったのに……それさえも過ぎた望みだったというのか?
最初から味方だとは言われて無いのは確かだが…
ここまであっさり捨てられるなんて思わなかった…信じたくなかった

でも既にこうして見知らぬ世界に来ている それはあの空間内で死んだ事の証明でもある
どれだけ嫌がっても捨てられた事に変わりは無い

「ぐすっ………うぇぇ………」

涙が止まらない 掛けられていた布を濡らしてしまう
しばらく泣くのを止められなかった





「………布」

起きた時には布が掛けられていた…
つまり誰かに拾われたのだろうか?
しかし起きてから大分時間が経つが一向にこの部屋の…この家の主が帰ってくる気配は無かった


ぐぅ〜〜………


「………///

お腹が鳴る
此処に食糧らしきものと言えば机にある果物だが…

「勝手に食べちゃ…ダメだよね…」

喰いかけの物は流石に勧められても食べる気にはならないが
机にはまだ手が付けられて無い物も沢山ある
しかし此処にある物はどれもこの家の主の物だ 勝手に我が物にするわけにはいかない

(とりあえず外に出よう)

そう思いドアを開き外へ出ようとするとそこにはウサギが居た

「………」

私はウサギを見上げながら思考フリーズする
繰り返すが見下ろしているのではない "見上げている"のだ 当然私は立っている
私の常識ではこんなに大きいウサギは居ない筈だ

「………」

ウサギは私を見下ろしながらこっちを見ている
しかし窓に干されていたウサギの顔をしているので表情がわからない
やはりあのウサギの頭は覆面か何かだったようだ
ウサギの頭から下は筋肉隆々の人間の身体があり パンツ一丁だった

「………キャアアア!!もごっ!!んー!!んーっ!!」

思考が回復し叫んだ瞬間口を押さえられベッドに押し倒された
よくわかんない内に拘束されてしまう しまった…!油断した!

「んー!!んー!!」

私はじたばたともがくも腕を拘束されてるし
凄まじい力に押さえつけれて無駄な抵抗となった 気のせいか胸を揉まれてるような…

「落ち着け…私は決して怪しい者ではない」
『嬢ちゃん可愛いねぇ…俺と良い事しない?大丈夫!俺は怪しくないよ!』←霊禍の幻聴

「んーっ!!!んぅーーーーっ!!!!」
(十分怪しいから!てか揉むな!胸を揉むな!!)

涙目になりつつも必死で抜け出そうとするが服が乱れるだけで全く意味が無かった

「頼むから暴れるな!私を信じろ!」
『ひへへへ…柔らけーおっぱいしてるな嬢ちゃん』←霊禍の幻聴

ウサギの男が叫ぶが私にとってはもはやそいつの言葉は恐怖以外の何ものでもなかった
今度は口に布を巻かれる…ウサギに胸を揉まれながら…

(犯される!嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ!!!)

いくら抵抗しても事態が好転するわけでもなくどんどん拘束がきつくなる
身動きが殆ど取れなくなってきた所でもう疲れて抵抗する力も無くなった

「ようやく落ち着いたか?」
『観念したか?覚悟しろよへへへへ』←霊禍の幻聴

ウサギの男はそう言って今度は私の腹を撫で回してくる

「んぐっ…んーー!!」
(お願い止めて!犯さないでぇっ!!)

私は泣きながら訴えるが口を塞がれてるのでそれも伝えられない

「ふぅーむ……」

今度は股の部分 絶対触られたくない部分を揉まれる

「んっ…!んーっ!!んーーっっ!!」

陰核を指でくりくりと撫で回される
体験した事の無い奇妙な感覚があそこからジワリと広がる

「んぅぅーーっっ!!」

唐突に膣に指を入れられる 何かを探るように指がうねる
指が動くたびにニチャニチャと恥ずかしい音が鳴り先程よりも強く慣れない奇妙な感覚が襲い掛かる
うぅ…もうお嫁に行けない…

「ぐずっ……んっく……んぅぅ〜〜………」

クチュ…クチュ……ヌプ……ニチャ…
陰核と膣を同時に…集中的に刺激されよくわかんない感覚に襲われ続ける
もはや泣く事しかできない…こんな辱めを受けるくらいなら死んだ方がマシだと思える……

「反応良し…感度も良し…健康状態だな……良かった……」
『随分反応しちまって…感じまくってるのかい?まだまだこれからだぜ』←霊禍の幻聴

ウサギの男の言葉にこの上ない嫌悪感を感じ必死に叫んだ

「んぅーっ!!!んぐーーーっ!!」
(嫌ぁーっ!!!嫌あぁぁぁっ!!)

ドゴオオオオオオォォォォン!!!

突如天井が消し飛ぶ
壁も吹き飛び飾られていたあらゆる道具が派手な音を立てて崩れていった
何が起きたのだろう?それよりあの変態も消し飛んでくれたのだろうか?

「これは………!?」

片耳が欠けたウサギの男が驚愕の声を上げる …生きていたか…死ねば良かったのに…
それに身動きが取れ無いのは依然変わらないままだった

「………」

ウサギの男が少し離れた位置で私を見つめる 表情がわからないのが怖い
私はそれに大して睨み返し息を整える

「………落ち着いたか?嬢ちゃん」

ウサギの男が静かにゆっくりと優しく問いかける

「もしさっきみたいに変な力をぶっ放すというならもうしばらくそのまま縛られておけ」
「そして予め言っておくが私は君をどうこうしようとは考えていない…警戒を解いてくれ」

警戒を解け?それは無理な話だ
ウサギの頭の形をした被り物をして首から下はパンツ一丁のマッチョな男の姿
しかもさっきまでこいつは私の胸や腹や陰部までも平然と弄ってきた変態だ

「まずは自己紹介させてもらおう…私は『ウサギ仮面』!」
「愛らしい姿をもつ正義の味方だ この通り決して怪しい存在では無い」

誰がどう見ても変質者です 本当にありがとうございました
一体何処が愛らしいというのだろうか…通報されて死ぬべき存在だ
もしかしてこの世界はこんな奴ばっかりなのだろうか…だとしたら生理的に受け付けない

「私の能力は『自身に及ぶ害を拒絶する能力』だ この能力のお陰で私は無敵なのだ」
「普通こうして能力を明かす事は無いんだが…これは君の警戒を解くためだ…どうか私を信じて欲しい」

「………」

私は睨むのを止めない それにしてもこいつの能力…
もし本当だとしたらこいつにダメージを与える事は不可能だという事だ
最悪…何でこんな変態が…死ねば良いのに…

「先程の行為を怒っているのなら言い訳させてもらおう」
「あれは君の健康状態をチェックしてたんだ…直に触って診た方が早いからな」

余計なお世話だ
何が健康状態のチェックだ!絶対それが目的じゃ無いだろ!

「…どうしても私を敵視するのか?」

ウサギ仮面がため息を吐きながら問う 落ち込みたいのはこっちだ…あんな…あんな辱めを…

「ならば…仕方ない…強行手段だ…能力を使わせてもらう」

そう言ってウサギ仮面は立ち上がり私に近寄る

「んー!!んーっ!!」

またあの辱めを受けると思い抵抗しようと暴れる

「そう怯えるな…私に対するマイナスイメージを取り除くだけだ」

それは一種の洗脳じゃないのか?そんな事されたら…
こいつに何をされてもこいつを害として見る事が出来なくなる!
間違ってもこいつを好きになるのは嫌だ!絶対嫌だ!!死んでも嫌だ!!!

「さぁ…いくぞ?」

「んーーーっっ!!!!」

ウサギ仮面が私の額に手をかざし そしてその手が光る
すると先程までのこいつへの嫌悪感が嘘のように消え去った

「落ち着いたか?」

「………」

私は静かに頷く…ウサギ仮面は私のその反応を見て満足そうに喜んだ

「腹が減っただろう?今食べ物を……」

そこまで言ってウサギ仮面は辺りをキョロキョロと見渡すが
今この場所には私が縛られたベッドとウサギ仮面が座っていた椅子しか無い
他は全て何処かへ吹き飛んでしまった 天井に至っては消滅している

「ハハ…そういえば君に家をぶっ壊されたんだった 今から取ってくるから待ってろ」

そう言ってウサギ仮面は森の中へと消えていった 行く前にこの拘束を解けよ





数分でウサギ仮面は戻ってきた

「待たせたな!」

そう言ってパンツの中から果物類を沢山出す どうやってしまってたんだろう?
………空腹だがアレを食べるのは嫌だ…

「さて…今から解くぞ?暴れたり逃げたり変に抵抗するなよ?」

そしてようやく解放された…動けるって素晴らしい!
ウサギ仮面が早速私に質問してきた

「良ければ君の名前を教えてくれないかな?」

「…霊禍」

「霊禍か…可愛らしい名前だ 他にも色々聞きたい事はあるがまぁ喰え」

そう言ってウサギ仮面は果物を差し出す
パンツから出された果物に触るのは何か嫌だったので私は無視した

「私も聞きたい事があるんですが…その前にお願いがあります」

「何だ?何でも言ってご覧」

「私に対して使った術を解除して下さい 私は変に干渉されるのは嫌なんです」

「それはすまなかった 今解除しよう」

ウサギ仮面がパチンッと指を鳴らし私に掛けられた能力を解除する
それと同時にウサギ仮面に対する嫌悪感が蘇える
私は即座にウサギ仮面の頭を思いっきり殴りつけた

「………何をする?暴れないで欲しいんだが」

ウサギ仮面は全く動じず聞いてくる

「アンタは…私を……私を…!!」

私はひたすら殴り続けた 陵辱されたその仕返しとして泣きながら殴り続ける
しかしウサギ仮面は全くダメージを受けていない それがさらに私を苛立たせる
ウサギ仮面はもはや諦めたかのようにただ黙って殴られ続けた

「うぅ……うぅぅ〜〜!!!」

殴りつかれて泣き崩れる私にウサギ仮面が話しかける

「何でそこまで怒ってるかは知らないが悪いのはきっと私なのだろう すまなかった」

そう言ってウサギ仮面は私に対して土下座して謝る

「ぐすっ…そんな事をしても…ゆる…許さないんだから…」

私はよろめきながらも何とか立ち上がりベッドに戻り横になる
そしてウサギ仮面に向かって言い放つ

「アンタがどうしても謝りたいなら私が起きるまでずっとそうしてなさい 話はそれからよ」

「………」

ウサギ仮面は黙ったまま動かなかった





「………」

目が覚める すっかり夜だ
天井も壁もない見晴らしの良い場所にあるベッドからゆっくりと起き上がる
周りを見渡すと…すぐそこでウサギ仮面が土下座していた

「はぁ……」

私は大きくため息を吐く こいつに触られたくも無い箇所を弄られたのだ 絶対に許せない
だが今の所こいつ以外にこの世界の事を知る術は無い
話すのも嫌だがこいつから情報を引き出すしか無いようだ…

「もう頭を上げなさい…そして色々と答えてもらうわ」

私がそう言うとウサギ仮面は身体を起こし椅子に座って私を見る 質問を待っているのだろう

「質問の前に聞くけど…何故私がこんなに怒ってるかわかる?」

ウサギ仮面に睨みながら言う

「…無理矢理ベッドに押さえ込んだからか?」

「それもある…でも一番はそれじゃない」

「ならわからん…あれからずっと考えてたが怒らせるような事をした覚えが無い」

「はぁ〜…」

思いっきり呆れる こいつは自覚無しで私の身体を…

「私が怒ってるのはアンタが私の身体を好き勝手弄ったからよ!」
「本当信じられない!強姦しといて自覚が無いなんてありえないわアンタ!」

「待て…私が何時強姦したと言うのだ?」
「私が君に触ったのは君を寝かせた時と暴れる君を押さえつけた時と君の健康状態を診た時だけだ」
「それに強姦とは暴力で無理矢理に肉体関係を持つ事を指す 私と君とでは肉体関係は無い」
「よって私は強姦なぞしていない むしろ強姦なんて悪行はしたくもないな」

「煩い煩い煩い!!アンタが何を言おうとアレはもはや強姦よ!」
「嫌がる人の身体に遠慮なく触って…わ…私の…な、中に指を入れるなんて…言い訳にすらならないわ!」

「………そうか…アレでも強姦となるのか……すまなかった…」
「次からは注意し本人の許可を得てから健康状態の確認を取ると誓おう」
「だから…そうだな…許してくれとは言わないが敵意を持たないで欲しい…私は君の味方だ…」

そう言ってウサギ仮面は再度土下座して私に謝る

「わかったのなら良いわ でもね…私はアンタを絶対許さない」

「………仕方ないか…私が全面的に悪いのだからな」

ウサギ仮面はゆっくりと立ち上がり果物を食べ始める
………どうやって食べてるんだろう?
被り物を外して素顔が見れるかと思ったが
被り物の口あたりに果物を近づけた時にいつの間にか齧られている

「…質問するわ 正直に答えなさい…此処は何処からしら?」

「私の家だが?」

「………言い方を変えるわ ここ一帯の地域は何と呼ばれてるのかしら?」

「ハウビェシームと呼ばれている 私の生まれ故郷でもある」

…確かリフが居た世界は第一都市[ピルグム],第二都市[ハルゲン],第三都市[トルーヴ]だった…
そのどれにも含まれないと言う事はやはり此処は別世界か…
ハウビェシームね…発音しにくいなぁ…

「そう…じゃあこの世界各地の場所の名前を知る限り教えて頂戴 できれば特徴なんかも」

それ聞いてウサギ仮面はゆっくりと丁寧に話し始めた
後で私に渡すつもりなのか 地図を取り出しそこそこ広い余白部分にメモしながら話す

森の都[ハウビェシーム]
現在私達が居る場所で自然豊かな場所らしい
森は広く多くの野生が生息する 此処に住んでいる人間は今はウサギ仮面しか居ないと言う
…アンタ絶対隔離されてるでしょ…

水の双璧[クヌムホーロー]
この世界には海が二つありその二つの海の境目にある
底無き谷の間に浮かぶ島がこう呼ばれていると言う
飛行船無しでクヌムホーローから出入りすることは出来ない
また現在地から最も遠い場所にある

電光世界[レビ・ヴィグスム・アポル]
1年に1度だけ出入りできる特殊な世界らしい 出入り口は天空にあり
電子機器を一切使わずに飛行しなければ入れない為飛行船は使えないとの事
翼人族の最後の領地でありこの世界で最高の科学力を持っていると言う
多分私がこの場所へ入る事は無いだろう

火の楽園[クェセ・ヒシル]
この世界で最も広大な範囲を領地とする場所で多くの種族が住むと言う また火山が異常に多い
他と比べて非常に住みやすく1年に約40回噴火が発生する以外に目立った特徴は無いらしい

風霊域[ネミセト]
常に強い風が吹く禁域で誰も住んでいない 砂漠のように昼と夜とで温度差が激しいと言う
植物すら生えずまともな足場さえ無いので非常に危険な地域らしい
凄い宝や異界へと続く門があると色々な噂がある
立ち入った者は誰一人帰ってこなかった為残されている記録以外の情報は不明との事
誰がこの記録を残したのだろうか?
ちなみに現在地から最も近い この森の高い場所に行けば見えるらしい

以上がこの世界の各地域の名前だ 正直憶えづらい名前ばかりだ
とりあえずこの変態から離れ生活するにはクェセ・ヒシルに向かった方が良さそうだ
ウサギ仮面から渡された地図を見ればその広さが圧倒的なのがよくわかる
それに飛行船という単語が出たという事は少なくとも幻想郷以上の科学力があるのが解る

「ん〜…ねぇ…アンタは飛行船を持っていないの?」

「持っていたがぶっ壊されたな 買う金も無いし必要も無いからアレ以来所持していない」

残念 飛行船があれば楽にこの森から抜けられると思ったのに
と言う事は徒歩で出ないといけないのか…はぁ…

「霊禍は此処から出たいのか? 此処が一番安全なんだがな…」

ウサギ仮面が問いかける いくら安全とは言え一人しか…
しかもこんな変態しか住まない場所に住むなんて嫌だ
私はもっと他の人と交流が持てる場所に住みたい

「私は交流を持ちつつ安全に暮らしたいの…此処にはアンタしか居ないじゃない」

「しかし他は危険だ…どの種族も縄張り意識が強く争いは絶えない」
「しかも人間は比較的弱い立場に居る…霊禍は人間か?見た目はそうだが…」
「仮に人間では無かったとしても見た目が人間という事で受け入れられる事は無いだろう」
「その証拠が翼人族だ 彼等は人間に似てるが故に追いやられもう電光世界以外に住んでいない」

私はそれを聞いて酷くがっかりした どうやらここでは人間は迫害対象にされているらしい
私はただでさえ迫害される体質だ…それは幻想郷と…牢姫に送られた最初の世界で思い知った事

「じゃあ人間は…生き残ってないの?」

もう生き残っていないとなると若干苦しい…
同じ種族が居ないというのは…私は孤立する事になるだろう
そんな世界でやっていける自信は…無い…

「いや…人間の多くはクヌムホーローに住んでいる」
「この世界で強い部類に入る種族…竜鬼族、夜魔族、屍狗族と言うんだがそいつ等は水が苦手で」
「その三種族を苦手とする種族の殆どが水の双璧に住んでいるのだ」
「だがそれ以外の種族は殆ど三種族に支配されている 悲しい事だ」

「水の双璧って飛行船が無いと行けない上此処から一番遠い所じゃない…」

私はさっきよりも落ち込む ウサギ仮面は飛行船を持っていない
水の双璧[クヌムホーロー]には飛行船が無いと行けないのだ
仮に私が…霊夢だった分離前の記憶で何とか飛行できたとしても
クヌムホーローを囲う二つの海は大陸より広い…
飛んで行けば途中で力尽きて溺れ死ぬ事になる とてもじゃないが行けない

「はぁ〜……じゃあ結局…もうダメじゃない…」

早くもこの世界で生きる希望が潰えた
もうヤダ…せめてコイツに弄られてなければマシだと思えたのに

「此処に住むのは嫌か?」

「誰が好き好んで自分に淫行働いた変質者と一緒に暮らそうと言うのか…」

「………」

ウサギ仮面が申し訳無さそうに黙り込む はぁ…
だが頼れるのはこいつ以外居ないのも確か…

「アンタは…一人で寂しく無いの?」

気づいたら何故か問いかけてる自分が居た
何故こんな奴に…こんな事を聞いたんだろう…

「ふっ…寂しくないと言えば嘘になる…」
「だが私には私の信じる道がある その為にこれからも生きていくのさ」

「信じる道?」

「私の正義に従い 世界に住む者達を救済してそれぞれに幸せな笑みをな…」
「そりゃあ散々バカにされたし多くの者から攻撃されたりしたさ」
「でも何と言われようと…何をされても…私は私の正義を信じている これからもな」

…凄いな…強い心を持ってて…羨ましい…
………でも言ってる事は凄いまじめなのだが格好で台無しだ
ウサギの被り物と首から下はパンツ一丁でほぼ全裸の変態なのだ
何をどう間違えればそうなるんだろうか…

「そっか…」

「そろそろこちらからも聞いて良いか?」

「ん…何…?」

聞きたい事とは何だろう…

「その邪気について…教えてくれないか?」

「あ…」

私は思わず目を逸らす この邪気には私にとってある意味最大の敵だ
この邪気の所為で自然と嫌われるし意図せず相手を殺してしまう
そういう存在だと知ったらこいつはどう行動するのだろう?
こいつの中の正義は私のような…敵意無き害悪をどうするのだろうか?
こいつは自分から私の味方だと言ってくれたが…その考えを改めてしまうのだろうか?

「………この邪気は…生まれつき出ているものよ…」

私は話し始めた もしかしたら…受け入れてくれるかもしれない
変態ではあるがアレ以外は善意の行動だし…
容姿は…もしかしたら相応の理由があるかもしれない 後で聞いてみよう

「この邪気に侵されればそいつは死ぬわ 私の意思には関係無くね」
「制御なんかできず…この邪気の所為で周りからはよくない目で見られる…当然よね」
「中にはアンタのように効かない奴も居るけど…それは私が知る限りアンタを含めて二人しか知らないわ」
「消えて欲しい邪気だけど…多分一生付き纏うと思う…最悪よね」
「アンタはどう思う?害悪なこの私を…」

ウサギ仮面はこの問いには答えず代わりに別の事を聞いてきた

「私の家を破壊したアレは何か教えてくれないか?」

ちゃんと答えてくれずムッとしたが
あまり答えて欲しくない事でもあったし仕方なく答える

「私もよくわかんないけど…多分私の能力だと思う」
「私の能力は次元を司る程度の能力らしいんだけど…実感無いのよ」

「そうか…つまり誰かにそう言われたのか……そして使いこなせてないと」

「まぁそういう事よ」

能力を使いこなせていない事を自覚させられるように言われて若干腹が立つ
そういえばあの壁は出せるのだろうか…後で試そう

「最後に…霊禍は今不幸なのか?」

「そうね…不幸だわ」

「それは何故だ?」

何故…何故だろう…改めて言われるとよくわからなくなってきた…
不幸だと思う要因は沢山ある…生い立ちや体質、そして今までの経験と周りから受ける理不尽な憎悪
私はそれら全てが納得できなかった 私が何をしたと言うのか
存在そのものが害なら…こんな思いをする前に……死にたかった……

「それは……………上手く言えないわ…」

どう言えば良いのかわからない
一方的に敵意を向けられ…存在すら認められず…理不尽に殺される
もしかするとこんな私の人生でも「幸せ」と定義されるのかもしれない
しかし私の中の常識…これは分離前の霊夢の常識と殆ど同じだが
その常識では私はどう転んでも「不幸」とされる
この認識は思い込みなの?私は…ひょっとしてシアワセなの?

「……さっきは不幸って言ったけど……私は…もしかしたら幸せなのかもしれないわね…」

「………」

そんな私の回答にウサギ仮面はただただ黙っているだけだった





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あとがき

第十話終了

レイプ回でした…ウサギ仮面マジ死ね!氏ねじゃなくて死ね!
禍たんが…禍たんが穢されてしまった……でも嫌がる禍たんも可愛い…
まぁ流石に○○○()をズッコンバッコンする事にはなりませんでしたが…
それでもやばい回になってしまったのは反省してる めでたくR指定だね畜生!R15あたりですかね?
一応注意しておきますが強姦は犯罪ですので絶対やらないようにしましょうね
ウサギ仮面のような言い訳は通じませんよ?ちゃんと合意の上でひっそりといちゃついて下さいね

さて軽い解説といきましょう 何時までも下ネタに触れてるわけにはいきません

まず異色の新キャラ『ウサギ仮面』の登場ですね
こいつの所為で色々とぶっ壊れました すみませんw
ウサギの被り物は大体クレヨンしんちゃんに出てくる
ネネちゃん家の殴られウサギの頭をイメージすると良いです
それをマッチョな人が被ってるんです 凄いシュールです 明らかに変態です
そんな奴に私の愛する禍たんの陰部が…くぅ〜…あぁまた話が戻りそうなので軌道修正軌道修正

能力は自身に及ぶ害を拒絶する能力です
あらゆる全ての害的要素を受け付けません 要するに無敵
こいつの能力を何らかの手段で貫通しなければ倒せません
さらに害を拒絶するので自身に対するマイナスイメージ等も拒絶する事ができます
つまりどんだけ悪い事しても良い人として見られるように出来るわけですね
マイナスイメージは他者へと干渉するものなので本編のように解除はできますが
悪い噂などの対象が存在しない場合は拒絶はできても解除はできません
こいつにとって悪い噂は1秒も持たないんですね
また本気を出せば「敵意」や「殺気」「狂気」等も拒絶する事ができます
それどころか攻撃対象にされる事も拒絶できます 要するに敵が居ないわけですね
こいつは傷付かない意味で無敵ですが戦わない意味でも無敵となれます

こいつとの付き合いはどうなるのでしょうかね…
リフのように捨てられるのか…それとも桐生親子のような運命を辿るのか…それとも…
まぁ私自身どうなるかわからんので今後に期待ですね…個人的に滅んで欲しい 強姦魔め…


ウサギ仮面の家がぶっ壊れたのは能力の暴発ですね
意図せず強力技「ディストーション・ノヴァ」を発生させ家を壊してしまいました
ウサギ仮面も攻撃範囲内に入ってたのですがこいつ自身の能力で無傷です クソが!
勿論今の禍たんでは意図的にD・ノヴァを発生させる事はできません 力不足ナリ

またこの技もD・ウォール同様消し去った対象を使えるようになるんですが
今回消し去ったのはウサギ仮面の家の部屋の天井から上の部分全てなのでぶっちゃけ要りませんw
部屋の壁は消し去った空間に周りの大気が急に流れ込んだとか
まぁそんな感じの謎パワーの副産物で発生した衝撃波の所為で吹き飛んだだけです
なのでウサギ仮面の家の壁等の吹き飛んだ物は能力で消し去っていないので使えません
使えても嬉しくないので別にどうでも良いですねw


まぁそんなこんなで後半部分は前半部分が嘘のようなシリアスが続きましたね
ただしウサギ仮面の容姿は除く どうしてもシュールになってしまうw これじゃシリアルだよ!
また世界観も妙に色々設定付けられてますが
今までみたいに多分設定活かす前に去ると思うので憶えなくて良いですw
このパターンそろそろ止めないとなぁ…折角設定したのならそれを活かしたいよね…
でもまだチュートリアル的な状態なのでこの世界も先は長く無いでしょう…多分


さて次も禍たんを泣かせたいなぁ……
今の所…嬉しい時、死別の時、捨てられた時、辛い過去を思い浮かべた時、凄まじい嫌悪感の時等等
それぞれの思いを抱かせて泣かせてますが結構自分好みの仕上がりにできましたw
特にリフに捨てられた時が今の所会心の出来ですね すんごく可哀想と思える
次も泣かせられるかなぁ…泣かしたいね…え?私だけ?すまんね

それじゃ何時まで続くか…完結できるかどうかは知りませんが 次話あとがきで会いましょう


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