東方輪廻殺
第十五話 異変

「あ〜………暇ね」

私…博麗霊夢は暇を持て余していた
ここ最近異変も何も無く 平和な日々が続いてる
それは勿論面倒事が起きてないから良い事ではあるのだが…代わりに非常に退屈なのだ

「だからと言って何の理由も無く弾幕ごっこするわけにもいかんし…」

最近は友人の魔理沙も研究とやらで全然来ない
レミリアや萃香等も以前はよく来ていたのだがあまりにも来すぎてた為きつく言ったら
月に一度来るか来ないかの頻度になった ちょっと言い過ぎたかな?
他の面子は宴会や異変で無い限り滅多に来ない
早苗はたまに遊びに来るが神二柱の世話で忙しいのだろう
紫は相変わらずなので期待してない そもそも紫が出てくる時は大抵厄介事だ 来ない方が助かる
煩い記者である文の方もやはり最近は来ない きっとネタを探して飛び回ってるんだろう
里の方も何ら変わりなく平和だ 適当に参拝客と談話したい所だが参拝に来た者はもう皆帰ってしまった

とにかく退屈だ 刺激が欲しい
でも自分から動くのは面倒だ

「修行でもしようか?…でも退屈なのは変わらないしなぁ…」

「だったら働いたらどうですか?退屈凌ぎに善行…さらに貯金も貯まる…一石二鳥じゃないですか」

ふと声が聞こえた 今のこの暇を潰せる そう思って期待したのだが…
紫並に"来て欲しく無い"部類の人物が其処に居た

「………珍しいわね…アンタが来るなんて 何の用かしら?閻魔様?」

四季映姫・ヤマザナドゥ…過去のちょっとした異変で知り合った神だ
説教が非常に長い事で有名で紫ですら苦手としている

「貴女に少し聞きたい事があります…正直に答えなかった場合浄玻璃の鏡で無理にでも回答を頂きますので」
「過去を見られたくなければ正直に答えてくださいね」

「………何よ?」

ぶっきらぼうに答える 何か面倒事が起きそうだ…

「ここ最近…妖怪が異常な勢いで死んでいます」
「その原因を調べていた最中に貴女と思わしき人物が狩りをしていましてね」
「貴女に直接聞いてみようと思いましてね 無縁塚及び再思の道で妖怪を狩りましたか?」

「あんな所行ってすらいないんだけど?それに妖怪がいくら死のうがまた湧いて出るでしょ」

最近は別段困った事は無い むしろ人間にとって妖怪の減少は助かるものだ
しかしそれは幻想郷のバランスが崩れるとかなんとかで紫は許さないだろう
いくら有象無象とは言え減りすぎたら困るそうだ
それよりも私に似ている人物が居る そこが問題だ
私の名を勝手に使って狩りをしてるかもしれない
それで何か問題が起きればとばっちりは私に来る…冗談じゃない

「………嘘は吐いてないようですね…では改めて"依頼"をしましょう」
「無縁塚…及び再思の道にて活動している謎の人物を貴女にも調べてもらいたい」
「これは依頼ですのでちゃんと調べてくれたなら報酬も約束しますよ…お願いしますね?」

「…わかったわ 嫌な予感がするからあまり乗り気じゃ無いけど退屈だったし」

「無理はなさらずにね では良い結果報告をお待ちしてますよ」
「私は他所の様子も見なければならないのでこれで失礼します」

映姫は軽く礼をした後去っていった
さて…仕事が出来たし 早速調べて報酬を頂くとしよう
そう決めて私は普段誰も近寄らない再思の道へと向かった










「…見つけた」

死神が少し広い場所で瞑想している霊禍を見て呟く

(四季様は手を出さず様子見しろと言ってたが…こりゃ丸一日動きそうにないねぇ…)
(ま、その方が楽でこっちも仕事をサボれるなら構わないけど)

死神…小野塚小町は霊禍をしっかり見張りつつ四季映姫を待つ

(どこからどう見ても…今代博麗だよなぁ…)
(しかし…あのおぞましい邪気…やっぱり異変かねぇ…)

「ふぁ〜あ………お?あれは…」

小町が暢気に欠伸してると飛行して来た霊夢を見つける

(ははぁ…四季様も仕事が早い事で)

小町は軽く伸びをした後飛行し 霊夢と合流する事にした




「こんな所に何の用だい?」

「アンタには用は無いわ」

「はは じゃああそこに居る奴に用があるのかな?」

小町は霊禍の方を指さし霊夢に霊禍の存在を気づかせる

「…えぇそうね 教えてくれてありがとう」

「そりゃどういたしまして」

霊夢は早速霊禍の元へと向かう 小町もそれに続くように地上へと降りていった





「こんにちは…何してるのかしら?」
(私と瓜二つ…何者なの…?)

霊夢が挨拶し霊禍がゆっくりと目を開く
霊夢を視認すると一瞬霊禍の目が大きく見開いたがすぐに普通の表情に戻った

「…!……見ての通り瞑想中よ…久しぶりね霊夢…私に何用?また私を殺しに来たのかしら?」

「ちょっと待ちなさい 久しぶりも何も初対面の筈よ?それに"また"?」

「………私の事知らないの?」

「知らないわね…アンタ誰よ」

「………私は博麗 霊禍…博麗霊夢の分身みたいなモノよ」
「貴女が私を知らないというなら…此処は…別の…」

霊禍は軽く自己紹介した後ブツブツと小言を言いながら何か悩んでいる

「貴女…最近ここらへんで妖怪を狩ってるそうね?何故かしら?」

「私は狩りなどしてないわ 全て正当防衛よ わざと見つかってるだけ」

「…怪しいわね…正直に話さないと痛い目見るわよ?」

キッと霊禍を睨み威圧する

「ふん…そんな睨んでも怖くないわ 平和ボケしたアンタ等なんかちっともね!」

そう言って霊禍も睨み返す
後ろで様子を見ていた小町が前に出てきた

「ホラね…本当の殺し合いを知らないからそうなるのよ…もう帰れ…」

「霊夢!しっかりしろ!呑まれてんじゃないよ!」

「あ…?」

気づけば膝をつきガクガクと震えていた

(な…何で?いつの間に!?…く…立ち上がれない!?)
「な、何をしたの!?」

「別に何も?…あぁ…そう…アンタにはわかんないのか…」
「アンタがそうなってるのは私が怖いからよ…でも別に恥じる事は無い」
「誰だって恐怖はあるものね…私も…貴女と同じく怖い事は沢山ある」

ゆっくりと立ち上がりユラユラと近づいてくる霊禍
一歩一歩近づいてくる度に私の息が荒くなる

「初めてでしょう?プレッシャーを感じるのは…今まで能力で無視してたものだからねぇ」
「なら何故霊夢の能力を無視してプレッシャーを与えられるのか?」
「それはね…単純に貴女が弱いからなのよ」
「貴女は死の恐怖を知らないからね…私と違って…私なんかと違って!」
「羨ましいし憎いわ…どうして"霊夢"と"私"とじゃこうも差別されるの?私は何なの?」
「ねぇ…聞いてるの?聞けよ!」

「ひっ!」

霊禍が詰め寄ってくる 霊夢は自分でも気づかない内にどんどん怯えていた

「私はね……貴女と違って…要らない子何だってさ?おかしくない?」
「何で…アンタ達は必要とされて…私は要らない所か敵視されるんだよ!?」
「ねぇ霊夢…アンタは人を守ってくれるんだよね?私も守ってよ…ねぇ…」

さらに近づいてくる霊禍 霊夢はガタガタと震える
霊夢にとって霊禍の事情は知らない為霊禍が何を言ってるのかは理解できなかった

「霊夢!いい加減にしろ!」

小町に活を入れられハッと落ち着きを取り戻す
即座に霊禍との距離を取る

「はー…はー…助かったわ小町…」

ようやく立ち上がり霊禍と向かい合う

「し…質問の続きよ…何故此処に居るのかしら?どうしてわざと見つかるような真似を?」
「何故人里に行かずこんな危険な場所に滞在してるのかしら?」

霊夢はしっかりと霊禍を見つめ一気に質問する

「此処に居るのはたまたま此処に出たから」
「わざと見つかるのは修行の一つ…不意打ちで倒せば修行にならないから」
「人里に行かないのは私の存在を出来るだけ認知されないようにする為よ」
「私はよく狙われる体質でね…知名度が低い方が比較的安全に立ち回れるの」
「小町が居るって事は閻魔も動いてるんでしょ?…私をどうするつもりかしら?」

霊禍はさっきとはまるで別人のような態度で淡々と質問に答える
それと同時に小町に問いかけた

「それは四季様が決める事であたしの仕事じゃ無いね!」

小町が霊夢を守るように前に出て答える

「なら進言してくれる?私は別にこの世界をどうこうしようとしてるわけじゃない」
「だから私の事は放っておいてくれないかな?」

今度は小町に殺気を向ける霊禍
それを受け思わず一歩引き下がる

「そうはいきません 災禍である貴女を私が見逃すわけが無い」

ふと空から声が聞こえる 見上げれば其処にいたのは四季映姫だった

「災禍?私は何もしてない…何もするつもりもない…なのに何故(わざわい)として見る!?」

霊禍が映姫を睨み怒鳴る しかし映姫はその問いに言葉でなく攻撃で返した

「…はぁ?あぁ…そう…やっぱりアンタも私が邪魔なんだ……」

霊禍は血塗られたような禍々しい壁を出し映姫の弾幕は壁に飲み込まれ消滅した

(防ぐどころか掻き消した!?どういう能力だ?)

小町はその様子を見て一層霊禍を警戒する

「小町…構えなさい …霊夢、貴女は…帰りなさい」

映姫がそれぞれに指示を出し戦闘隊形に入る
霊禍は面白くなさそうな表情でずっとこちらの様子を伺っている

「嫌よ…私も戦うわ」

霊夢はそう答えそれを聞いた映姫は呆れたように言う

「これは弾幕ごっこなどではなく"殺し合い"なのですよ?足手纏いだから帰りなさい」

「私が…足手纏い!?」

「………仕方ありません 小町、霊夢を連れて行きなさい」

「…わかりました」

映姫からの命令を受け小町は霊夢を掴み小町の能力『距離を操る程度の能力』で一気にその場から離れる
霊禍は特に何もせず霊夢を見送った

「………今ならまだ間に合う…閻魔…アンタも帰りなさい」

二人きりになったところで霊禍が映姫に話しかける

「それは私が貴女を見逃す事と同じ事 繰り返しますが見逃すつもりはありません」

「じゃあ私を殺すという事ね?」

「そうなりますね」

「じゃあアンタが逆に殺されても文句は無いわね?」

「私が貴女に負けるとでも?」

「ハッ!…これだから平和ボケした幻想郷の連中は嫌いなのよ」
「相手の力量も見極められない!不利な状況ってのも理解できない!ナメるのもいい加減にしてよ?」
「自分は強いと過信し過ぎてる!アンタもね…だからアンタ等は雑魚なのよ」
「確かにアンタの力は認めるわ…腐っても神だしね…そこらの有象無象より強いってのは理解してる」
「でもね…いくらアンタでも2対1で勝てるとでも思ってるの?」

「何?2対1…?ガッ!?」

映姫が突然吹き飛ばされる 振り返れば見知らぬ男が立っていた

「ぐっ…だ…ガハァッ!…はぁっ…誰ですか!?ウグ…貴方は!?」

「私の名は幽玄…人間です 其処に居る霊禍の師をやっています」
「動かない方が痛みは和らぎますよ…どの道…急所を突いたので死ぬ事には変わりないですが…」

幽玄が静かに語り 映姫に近づく 幽玄が近づくと同様に霊禍もまた映姫に近づいてくる

「もう手遅れよ…だから言ったのよ…帰れとね……」

霊禍が優しく話しかける

「わ…ゴホッ…私にこんな…事を…カハッ…して…ただで済むと…ぐっ…」

「心外ですね…貴女は我々を始末しようとしました…ならば逆に始末されても文句は言えない筈です」

「師匠…平和ボケしたこいつ等にそんな事を言っても理解されないよ…」
「幻想郷の平穏に浸かりすぎて殺し合いを忘れたこいつ等は…もう手遅れなんだよ…」

「そうですか…それは残念です…少しは話ができる方だと思ってたのですが」
「では霊禍…これ以上苦しませぬよう…楽にしてあげなさい」

「わかりました…さようなら…閻魔様」

別れの言葉言い放ち霊禍は映姫を突く…映姫の体液を不規則に逆流させ
映姫は痛みを感じる間もなく爆ぜて死んだ
ビチャビチャと血と肉片が飛び散る

「し…四季様!?」

そこで小町が帰って来た 丁度映姫が始末されたのを見たようだ

「き…貴様等ァーッ!!」

小町は怒りを爆発させ霊禍に迫る
能力を用い即座に背後を取り攻撃を仕掛ける
しかし霊禍にはそれが解ってたかのように背後に回りこまれた瞬間に小町に蹴りを入れた

「ウグッ!?な…?」

「上司の後を追って死にたいようね」

小町が怯み混乱してる間にさらに突きが入って小町の身体を貫通する
丁度手先のみが小町の体内に入り軽く掻き回される
体内に入った手が少しでも動くたびに激痛が走り
骨や内臓が触れる度にまた激痛が小町を襲う

「うっ…!グアァっ…!」

小町は必死に抵抗するも身体が全く動かない
一切拘束されてないのに指一本動かす事ができなくてさらに混乱する
しかしそれ以上に痛みが激しい

「さようなら…小野塚小町…これで永遠に眠れるわね…」

霊禍は腕を半回転させそれと同時に小町は最後の痛みを感じる間もなく爆ぜて死んだ



「お疲れ様でした…霊禍」

「しかし師匠…これでもうこの世界に安全な場所は無くなった…」
「閻魔と死神を殺した以上…幻想郷は我々を敵と見る…次々と襲ってくる…」

「問題無いでしょう…今まで通り返り討ちにすれば良いだけです」

「ですが…!」

「しかし狙われていると解ってるならそれを対策せずにただ待つのは愚かです」
「なので…今回から罠の作り方を教えてあげますよ 早速作りましょう」

「!……わかりました」











霊夢は再思の道へと戻って来ていた
映姫と小町…そして霊禍を探すが見当たらない…

「くそ…何処に居るのよあいつ等は……ん?」

ある程度飛び回ってると不自然に赤黒い場所を見つける
何だろうと思って降り立つ…ニチャ…と不愉快な音が鳴り赤黒い何かが靴の裏に付着してしまう
その場を見渡してみるとポツンと無造作に放置された小町の鎌があった

「…これは小町の…?」

さらに辺りを見回すと所々肉片がある
そして映姫が持っていた悔悟棒も落ちていた
それどころか浄玻璃の鏡まで割れて落ちている…

「…これって……つまり…」

二人は死んだ そうとしか思えない状況
映姫と小町はそれぞれ閻魔と死神であり人間ではない
なのにその存在が死んでいる つまり相手はその存在を殺せるほどの実力者となる
弾幕ごっこなら映姫と小町にも勝てはするが今回は殺し合いでの結果
霊夢も流石に殺し合いとなれば映姫と小町にはほぼ勝てない…

「これは…私一人じゃ無理ね…紫あたりに話さないと…!」

霊夢は唯一見つかった血塗れの遺品三つを持ち 神社へと帰った





TOPへ 前話 次話
あとがき

第十五話終了 どうでしたか?

とりあえずファンの皆様はごめんなさい 映姫さんと小町さんは死亡してしまいました
別に嫌いだから殺したわけじゃないよ?むしろこの二人は結構好きな程ですしね
でもだからと言って殺さない理由にはならねぇぜ!
これからもどんどん死者が増えると思う すみませんが覚悟してね 全面戦争になりつつあるので
やっと普通に東方キャラ出せると思ったらこれだよ!(´;ω;`)
比較的脇役なキャラは出番無いから死なないと思う

あと口調やら設定やらは気にしないでね ここではそういう事なんだって割り切って下さい

一応この幻想郷は禍たんが生まれた幻想郷とは別の世界となります
だからこの幻想郷の霊夢や紫は禍たんの事を全く知りません

また映姫が霊禍を見て何故見逃さないと宣言したか その理由はとりあえず二つあります
一つは霊禍が纏う凶悪な邪気が非常に強く存在するだけで害と判断したから
二つ目は霊禍が第三世界で多くの人間を殺したのでその罪を見過ごすわけにはいかなかったからですね

さて…どうやって収集つけようかな…
修行の所為で強くなりすぎたので数では劣るけど実力では圧倒的に霊禍と幽玄の方が上なんですよね
能力フルで戦うから紫や幽々子あたりで死にそうですが
霊禍はともかく幽玄は氣の流れが云々とか言って能力を避けるからどうしようも無いのよね…w
純粋な力も受け流しできるので吸血鬼や鬼の物理攻撃にも二人は対処できます パネェですね幽玄さん

それじゃ何時まで続くか…完結できるかどうかは知りませんが 次話あとがきで会いましょう


TOPへ 前話 次話
inserted by FC2 system