東方輪廻殺
第十八話 窮地

「咲夜あぁー!!」

レミリアは巨人の大剣で従者が潰された事を確認し思わず叫ぶ

「よくも私のっ………よくも……よくもっ!」

怒りを込めて思いっきり巨人に攻撃を仕掛ける
しかし巨人の強力な攻撃では如何に吸血鬼であろうと厳しく何度も地面に叩きつけられる
何とか致命傷は避けてるがこのままでは負けは明らかだった

「くそっ……くそおっ!」

「うわあああぁぁぁぁっっ!!」

フランが叫びつつもようやく戦線に復帰する
咲夜の死を理解したのか泣きつつ能力で巨人と戦車を破壊しようとする

『ハァァァアアアア!』

魔物達が砕ける…しかしすぐに再生して反撃してくる

「ああぁぁアあぁァあああア!!」

フランが再度能力を使い魔物達を破壊する

『オオオォォォォォッッ!!』

だがやはり再生する

「壊れろ!壊れろぉ!このおぉぉぉ!!」

フランが再生中の魔物達をまた破壊する
しかしどんなに細かく破壊しても再生が止まらない

「はあぁぁぁああっ!」

レミリアも同じく攻撃を仕掛けているが魔物達は硬いのか
吸血鬼の力を持ってしても皹を入れる事が精々 勿論それらのダメージもすぐに再生される

「はぁっ……はぁっ……」

「うぅ……お姉様ぁ…」

(いくら破壊しても再生が止まらない…どうやって倒せばいいの…?)

引き続き破壊と再生を繰り返す不毛な戦いが続く…






「見える?魔理沙…そして私が危険だって言った理由が解る?」

「………ちっ」

「私としては助けに行きたいんだけど?」

「パチュリー…」

あれから魔理沙一行は各地を回り同行者を集った
だが永遠亭はてゐ以外留守で人里は慧音と阿求、さらに幽香までもが死んでいて大騒ぎ
博麗神社も誰も居なく紅魔館で暇をしていたパチュリーがようやく一人加わったといった感じだった

そして今3人は2体の大型魔物と2人の吸血鬼の戦いを見守っている

「行くなら…美鈴も連れて行きましょう」

アリスがパチュリーに提案する

「そうね…今はあの魔物達を何としてでも倒さなければならない…人手は多い方が良いわね…」

「ま、待てよ!本当にアレと戦うのか!?弾幕ごっこなんかじゃ無いんだぞ!?」

「怖いなら帰りなさい魔理沙」

「だ、誰が怖いもんか!私だって異変解決者だ!行くに決まってる」

「足手纏いにならないでよ?咲夜の二の舞になりたくないしね」

三人の魔法使いは美鈴にも協力してもらうため紅魔館へ向かった








「あいつ等は…レミリア達かぁ」

遠くで戦っている覇斬達を見て霊禍が呟く

(互いに再生能力持ちでジリ貧ね…あの2体で十分かと思ったけど…増援を送るか…)
「グウィン…」

「何だ?」

呼びかけに応じるように次元壁からグウィンが出てくる

「覇斬の所へ行って妨害してる奴等を始末しなさい」

「妨害者が増えた場合は?」

「そいつ等も始末しなさい」

「解った…でも今からじゃ少し時間掛かるぜ」

「空龍も向かわせるから連れて行ってもらえ」

それを聞いて一体の空龍が降りてくる

「えぇ〜…はぁ…解った じゃとっとと行こうぜ」

『暴れるのは向こうについてからにしてくれ』

空龍は乱暴にグウィンの頭を掴み覇斬の下へ飛んでいった

「痛い痛い痛い!爪が!爪が頭に刺さってる!いてえよバカ!」

『静かにしろ…握りつぶすぞ?』

「………あいつ等で大丈夫かな」

グウィン達の様子を見て少し不安になりつつ見送った







「はぁっ…うぁぁ……」

フランも相当疲れたのか破壊のペースがかなり落ちた
今では片方の魔物を破壊し再生してる間にもう一方の魔物の攻撃を何とか避けてる形となっている

「はぁ…ぐっ……くそぉ……」

『オオオオォォォォォォッッ!!』

「おっと…!……はぁっ……はぁっ……!」
「お前達を完全に倒すまで…私は絶対負けん!!」

レミリアが反撃に出る

『ハァァァァアアア!!!』

再生を終えた巨人が大剣を振るう

「…っ!しまった!」

「お姉様!危ない!」

フランが急いで大剣を破壊する

「はっ…はっ…ぜぇっ……はぁっ……だ、大丈夫?」

「助かったわ…ありがとフラン」

「うん…でも……」

戦車型魔物の再生が終わる
とうとう破壊が追いつかなくなってきた

「く……ここまで…なの…?」

「まだよ!…まだ…まだ終わりじゃないわ!」
「フラン…しばらく休みなさい 私があいつ等の相手をしておくから」

「!?…無茶だよお姉様!」

「えぇ承知してるわ…でもね このままじゃ共倒れになる」
「そうならないように貴女は最初のペースで能力を使えるようにしないといけない」
「いいわね?隠れて休みなさい!」

そう言ってレミリアはフランを突き飛ばしそれから離れるように魔物達を誘導する
レミリアの思惑通り巨人と戦車はレミリアは集中して狙った

「お姉様…!………ごめんなさい…私が弱いばっかりに…」

仕方なく言う事を聞くフラン
今向かってもまた先程の不利な展開になるだけ…
姉を見守りつつ休憩を始める

「戦いに油断は禁物だぜぇ?」

「っ!?」

急に後ろから声をかけられ振りむく
振り向くと同時に両腕と両脚が何かに潰された

「…うぁぁっ!?」

「分断してくれたのは好都合だ…まずはお前から始末してやる」

見上げると所々骨の角が出ている女が居た
明らかに人間ではなく そして今まで見た事も聞いた事も無い妖怪…

「だ…誰…」

「あ?何で今から殺す奴に自己紹介しねぇといけねぇんだ?」
グシャッ
その言葉が終わると同時に今度は下半身がまた何かに潰される

「あぐぅぅぅっ!」

「黙れ」
バキバキバキッ
今度は首が潰される もう見上げる事も声を出す事すら叶わない
頭を掴み上げられる

「………!!」

グシャグシャとフランの身体が潰れていくのを見せ付けられる
ここまでくると再生するにはかなりの時間と体力を使う
もはや姉を助ける時間は無かった

「ど〜うだ?自分の身体がグチャグチャになるのを見る気分は?滅多にできねぇ体験だぜ?」

そう言って今度はブチブチと頭と胴を引きちぎる そして再度フランは自身の身体を見せられ
首から下の身体はとうとう認識できなくなるほど小さく潰れて消えていくのを確認した

(あ……あぁ……お姉様…助けて……)

「久しぶりだねぇ…首だけになっても生きてるこのタフさ!」
「もっと楽しみたい所だが生憎急用でね お遊びとお前の命はここで終わりさ」
「じゃ…あばよ」

フランの頭が放り投げられその頭は地面に達する前に潰れて消えた

「さて…後一人か…空龍…行くぞ」

『次は一撃で仕留めろよ?時間の無駄だ』

「やだねぇ…楽しみを知らないってのは…」

『ふん…行くぞ』

「いってぇ!だから頭掴むなっつってんだろ!」







「はぁっ……はぁっ……まだ…なの…フラン…」

ひたすら魔物達の攻撃を避けフランの回復を待つレミリア
もはや反撃する余裕すらなく能力を使って回避に専念していた

『ガァァアアッ!?』

「…!?」

巨人の背後からビームが打ち込まれ巨人が倒れる

「よぉ…レミリア…だっけか?助太刀に来たぞ」

守矢神社の一柱、神奈子がレミリアに話しかける

『オォォオオォォ!!』

戦車の方も変形した地面に飲み込まれて潰れていく

「私らもこいつ等に怨みがあるんだ…共闘といこうじゃない」

同じく守矢神社の一柱、諏訪子が話しかける

「しばらくお前は休みな…もう限界なんだろ?」

「悪魔を助ける神が居るなんてね…」

「何とでも言え…だが邪魔はするなよ?」

「悪いわね…休ませてもらうわ………フラン…!」

レミリアは神二柱に任せフランの許へ向かった

「さて…今度はあたし等が相手だ」

「仇…取らせてもらうよ!」

レミリアを見送った後バキバキと再生する二体の魔物に向かってさらに追撃を加えた







「フラン!…何処?何処に居るの?」

フランが隠れたであろう場所に戻ってきて探すが全く見当たらない

「返事すらしないなんて……寝ちゃってるのかしら……フラーン!」

「探してる奴はもう死んだぜ?」

「ん?…ぐぁっ!」

声を掛けられそっちを見ようとすると急に下半身を何かに潰される
咄嗟に霧化しようとするが何かに押さえつけられて変化できなかった

「…なっ!?き、霧化出来ない!?」

「そんなのだめだめ 逃がしはしねぇよ」
バキィッ
今度は両腕を潰される何者かの顔を見ることすら出来ない

「だ、誰!?」

「私か?テメェの妹をぶっ殺した奴だ」

「な…!?ふ、フランを!?嘘よ!」

「嘘じゃねぇ…遺体が無いのはグチャグチャに潰してやったからさ テメェみたいにな」
グチャッ ブチブチブチ
一気に身体を潰されレミリアが首だけになる
そしてその首を持ち上げられ…ようやく対面した

「き…さま…!」

「ほう…まだそんな目をするのか…気に入らねぇな…」

気に入らないと言うとレミリアの顔にツメを立て抉り始める

「な…止めろ……あっ…がぁあぁっ!」

「まだ恐れを抱かないその強い心に敬意を払って自己紹介してやろう…」
「私の名はグウィン…屍狗族っつー種族だ ここにはいねぇみたいだけどな」

「あぁぁっ!あっ…ああぁ……あああっ!!」

グウィンが自己紹介をしつつレミリアの皮を剥ぐ
苦痛で叫ぶが頭だけでは何も出来ない
グウィンは何か話しているが痛みでとてもじゃないけど聞いていられなかった

「まぁ色々あって今はその人間を主としてるわけよ ぶっちゃけ生前より快適だねぇ」

「がぁああっ!…うあぁ!…あああぁっ!!」

グウィンが楽しそうに話を続ける
顔の皮を剥ぎ取ると今度は目を抜き取り始める

「んで命令によってテメェ等を始末しに来てるってわけよ」
「命令受けるのはだりぃけど普段は退屈だから別にいいかなーって思ってるのよ」
「それにこうやってお楽しみな時間が貰える事考えれば特に文句は無いぜ」
「あーでも鳥公に頭掴まれるのは勘弁だなー 結構痛いしな」

グウィンは一人語りをしつつ今度はレミリアの歯と舌を引きちぎる

「さてと…そろそろ行かないと…鳥公が煩いし 私はもう行くわ」
「じゃ…あばよ」

(…私は……まだ……)

レミリアの頭が放り投げられその頭は地面に達する前に潰れて消えた

「タフな吸血鬼はこれで全滅っと んじゃ覇斬と崩炉に気を取られてる間抜け二人をぶち殺しますかぁ」

『一撃で仕留めろと言ったのにまた遊びおって』

「硬いこと言うな それじゃ私は移動するから不意打ちよろしく」

『ふん…余計なトラブルは起こすなよ?』

「テメェもな」

そう言って空龍とグウィンはそれぞれ移動した






「…っ!?」

「ん?どうしたパチュリー?」

「今…レミィが…死んだわ」

「何ですって!?それは本当ですかパチュリー様!?」

美鈴が信じられないと言わんばかりに問う

「間違いないわ…二人特有の魔力が…何処にも感じられない」
「霧化しても感じ取れる筈なのに 今では全然…」

パチュリーが残念そうに答える

「二人?」

アリスが疑問を浮かべる

「…フランも…同様に死んでるみたいね…」

「そんなっ…!?」

美鈴がまたも驚愕する

「でもおかしくないか!?だって巨人達の相手は神奈子と諏訪子に任せてたのを見ただろ?」
「何で戦ってもいないのに二人が死んでるんだ!?」

魔理沙が疑問を浮かべる

「敵はあのデカイ二体だけじゃないって事ね…」

「一人で行動するのは危険ですね」

「今からでも遅くない 周囲を警戒しつつ加勢に向かうわよ」

アリス、美鈴、パチュリーが続けるように話す

「あ…あれじゃないですか!?」

小悪魔が何かを視認して指さす 飛行している鳥型の魔物が巨人達の下へ向かっていた

「見た事無い妖怪ね…気をつけて行くわよ」

他の一同もそれを確認し飛行している魔物に向かう





「おっと!」

ある程度近づくと鳥型の魔物がレーザーを吐いてきた
注視してなければまず当たるところだったが全員警戒しながら近づいたので誰にも当たらなかった

『キィァァアアア!!』

今度は不自然に羽ばたき翼から棘が放たれる
それと同時にパチュリーが結界を張る…が即座に破られてしまった

「くぅっ!?何て強力な攻撃なの…」

何とか攻撃を避ける

「とっとと倒すに限るぜ」

魔理沙がお返しと言わんばかりにビームを放つ
しかし結界に阻まれ魔物は無傷だった

「なぁっ!?め…面倒くせぇ…」

「私が直に叩きます!援護お願いしますね!」

美鈴が前に出る アリスと小悪魔が魔術を用いて魔物の動きを制限しようと試みる

『シィィィィイイイ!!!』

魔物の方も前に出て翼で美鈴に直接攻撃を仕掛ける
命中する直前で結界により攻撃が阻まれ美鈴は無傷だった

「ありがとうございますパチュリー様!」

「いいからとっととその危険なヤツを倒しなさい!」

美鈴が全力で攻撃する 魔物の翼が一つ千切れた

『ギャァァアアアアッッ!!』

「まだ…まだぁっ!」

さらに追撃を加えまた一つ翼が千切れた

『キィィァァアアア!!』

棘を放ちつつレーザーも吐いて美鈴に攻撃する

「うぐっ!」

棘は結界で防がれた レーザーは避けようとしたが掠ってしまう
掠った部分が思った以上に大きく抉れて一気に重傷になる

「う〜ん…ちゃんと避けたと思ったんだけどなぁ」

「美鈴!大丈夫!?」

パチュリーが再度結界を張りなおし美鈴に治癒魔法を掛ける
その間にアリスと魔理沙が弾幕で攻撃するが魔物の結界を打ち破る事が出来なかった

「直接攻撃じゃないと通らないみたいね…」

「治ったわ!さぁ!早く行きなさい美鈴!」

「了解…!」

再度美鈴が前に出て先程同様アリスと小悪魔が魔物の動きを制限させる

『キィィィァァアア!』

大きく羽ばたいて大量の棘をばら撒く
美鈴は集中して紙一重で避け続け結界が壊されると同時に攻撃射程内まで近づけた

「今度こそ…終わらせる!」

一撃一撃にしっかり力を込めて全力で魔物に攻撃する
何度か反撃されるがその度に美鈴を守る結界が壊れまた張り直される
全ての翼が千切れ飛行するのがやっとになってきたようだった
そして魔物を護っていた結界が遂に割れる

「よし!これで弾幕も通る!魔理沙さん!追撃をお願いします!」

結界が破れたのを確認して魔物を叩き落す

「よっしゃ任せとけ!」

落ちてゆく魔物に向かってビームを放つ
それに対抗するかのように魔物もレーザーを放ち抵抗する

「魔力をもっと込めるのよ!」

パチュリーが美鈴を治癒しながら魔理沙に言う

「力を貸すわ…必ず仕留めるわよ」

アリスも攻撃を加え さらに魔理沙に魔力を送る

「私も僅かながら助太刀します!」

小悪魔は魔物のレーザーに干渉しレーザーの威力を弱める

「いっけぇぇぇえええええ!!」

ビームが魔物を貫いた

『ギャァァァアアアアアッッ!!!』

「っ!?皆!一箇所に集まって!」

魔物が眩く発光しそれを見てパチュリーが号令を掛ける
結界を張った直後に魔物は大爆発を起こした
ドゴォォォッ!!!
「ぐぅぅぅっ!」

大爆発を受け結界がビキビキと割れ始める

「死ぬわけにはいかないんだ…!」

魔理沙がパチュリーに魔力を送る

「ここで終わるわけにはいかない!」

アリスもパチュリーに魔力を送る

「頼みます…!」

美鈴と小悪魔はパチュリーの喘息の発作が起きないよう術を施す

「くぅっ!お願い…持ちこたえて…!」

割れそうな結界にありったけの魔力を込めて破られないようにする
全員の魔力が尽きかけたところでようやく爆発の衝撃は収まった

「はぁっ…はぁっ……ごほっ!げほっ!はっ…はっ…」

喘息が発作し苦しみだすパチュリー

「パチュリー様!薬を…!」

「んく…んく…はぁ…はぁっ…」

小悪魔がすぐさまパチュリーを介護する

「危なかったな〜…辺り一帯焼け野原だぜ…」

「一瞬でも遅れてたら私達も道連れで死んでたわね…」

「何とか…倒せましたね…もう疲れましたよ〜」

「まさかたった一匹相手にここまで疲弊させられるとは…しばらく休憩してから巨人討伐に向かいましょう」

「賛成…あぁ…魔力がスッカラカンだ…寝たい…」

一同はしばらく休憩する事を決めた







「大丈夫か!?諏訪子」

「あぁ…てか何だよさっきの大爆発は…!お陰で束縛が解けちゃったじゃないか」

態勢を立て直した諏訪子は恨めしそうに巨人と戦車を見る
先程まで大地に飲み込ませて身動きを封じていたのだ
再生を封じる手段が思いつかない以上束縛するので精々だった

「また束縛する必要があるな…」

「あぁ〜もう…疲れるなぁ…でかいから飲み込むの大変だってのに…」

「だがこいつ等の攻撃パターンは読めている もう一度いくぞ!」

「気をつけてよ神奈子…こいつ等時間経過で強くなる さっきみたいにうまく行くとは限らない」

「時間経過で?それは確かか?」

「あぁ…束縛してる時に気づけたんだ…縛る力を強めていかないと封じられなかったからね」

「再生能力付きの上強化か…厄介だな…昔戦った神々なんかよりも余程強いぞ…」

「でもだからと言って諦めたわけじゃないよね?」

「当然だ 早苗の仇は必ず取る」








「まさか空龍を倒すとはね…」

空龍の大爆発を見て霊禍が呟く

「覇斬達は今度は二柱の相手してるし…う〜ん…」

もっと増援を送るべきか?そう悩み始める

「まぁ空龍はまだまだ沢山居るから問題は無いかな…」
「それより未だに紫と霊夢が確認できないのが心残りね…何処で何して何考えてるのやら」

『増援は送らなくていいのか?』

「ん〜…グウィンがやられたら送るわ」
「それより…師匠が気になるわね…襲牙…ちょっと探してきて…ってうぇぇ」
メキッ…メキッ…バキバキバキッ
犬型魔物:襲牙に指示を出すと同時に見ると襲牙全員が揃ってバキバキと首が分かれ始めた
襲牙の頭が二つとなる

『わかった…』

指示を受けた最寄の襲牙が颯爽と人里へ向かって走って行く

(………ちょっとグロいの見ちゃったな…他の魔物達もああやって変化するのかな…)

ちょっと気分が悪くなりつつも師匠と覇斬達の帰りを待つ霊禍であった







「あ〜あ…」

グウィンは途方に暮れていた

「帰りの便が死んじまった 歩きで帰るの考えるとだるいなー」

そう言いつつ何も無い空間からグウィンが姿を現す

「全く…自分を圧縮すんのは疲れるんだよ…さてと…」

グウィンは爆心地の近くで休憩してる一行を見る

「ふぅん?ご丁寧に結界張ってるなぁ…まぁ私には関係無いが…」
「一人は潰せる…が…この距離じゃ潰した瞬間逃げられるな…近づくしかないかねぇ…メンドくせ」

だるそうに呟きつつグウィンは地中に潜った





「………っ! 敵よ」

何かを感知し皆に警告するパチュリー

「本当か?何処からだ?」

「えっと…あっちの方角…だけど……あれ?」

パチュリーが指をさすもそこの方角には誰も居ない

「おかしいわ…確かに…今もあの方角から敵の接近を感じてるのに…?」

戸惑うパチュリーを魔理沙は半信半疑で見る

「此処に居るのは危険かもね…皆 飛ぶわよ」

アリスが号令を掛けて全員飛行した
すると先程まで自分達が居た場所が爆発する

「んぁ〜…気づかれてるとはな…」

砂埃が収まると所々骨の角が出ている女が其処に居た

「貴女は誰かしら?敵みたいだけど」

「私の名はグウィン まぁテメェ等の敵だな」

グウィンが魔理沙、アリス、パチュリー、美鈴、小悪魔を順に睨み自己紹介する

「人間1人…魔法使い1人…魔族2人…未分類1人か…それに戦える程度には回復しているな…」

「敵だというなら容赦しないぜ!先手必勝!」

魔理沙がやや不意打ち気味にビームを放つ

「ふん」
パァン
グウィンが不適に笑うとビームが拡散し消滅した

「なっ!?」

「久々の狩りだ…楽しませてもらうぜ?」
グシャグシャグシャッ
そう言い終わると同時に五人全員の両脚が潰れた









「はっ…はっ…はっ…」

九尾の狐が逃げる

「はぁっ……はぁっ……はぁっ……」

真っ暗闇を駆け抜ける 走っても走っても真っ暗闇の空間から抜け出せない

「無駄だよ」

「っ!?」

目の前に何かが現れる
真っ暗闇で視認はできないが確かに何かが急に現れたのを藍は理解できた

「怯える事は無い すぐには殺さないよ…今殺したら紫にバレるからね」

「何だ貴様は!私をどうするつもりだ!」

藍が影に向かって叫ぶ

「どうするかだって?勿論殺すに決まってるじゃないか 君は邪魔だからね」
「障害は排除するに限るだろう?」

「貴様!此処から出せ!さもなくば殺す!」

「はいはい頑張って んじゃまた後でねー」

そう言って目の前の影は消えた

「くっ…紫様…」

藍はまた真っ暗闇の空間を走り出した
この暗闇から抜け出す為に…







「居たぞ!黒服の男!」

妹紅が叫ぶ
三人はその男の下へと降り立った

「ちょっと良いかしら?貴方…名前は?」

輝夜が男に問いかける
三人とも何時でも男に攻撃できる態勢を取る
男はそれぞれを順に見て輝夜に向き直り話し始める

「答える必要があるんですか?あからさまに敵意を出して…何か用ですか?」

「私達は人を探してるのよ 黒服の男でね」

「とっとと名乗りな 人違いだったらそのままおさらばだ」

「…探し人であった場合は?」

「いいから名乗りなさい」

「………私の名は幽玄 さぁ…名乗りましたよ?どうするんですか?」

幽玄が名乗ると同時に三人からそれぞれ攻撃が放たれる
すると輝夜、妹紅、永琳の幽玄に近かった順番でそれぞれ吹き飛ばされた

「なっ…!?…ぐぅっ!」

三人は何故吹き飛ばされたのか解らず少し混乱していた
そして気づけば全員の胸に風穴が空いている

「うっ…い、いつの間に…」

「ふむ…資料通り不死のようですね…どうやら本物で間違い無さそうですね」

幽玄が何かを持って三人の前に現れる

「そ、それは…?」

「おや…わかりませんか?貴女達の心臓ですよ」
メキャッ
質問に答えた後幽玄は心臓を握りつぶした

「貴女達は命を無駄にしましたね…私を倒せる程の実力者かと最初は疑いましたが…」
「あの程度の攻撃、そして私の反撃に気づかない反応速度、簡単に心臓を潰される程度の警戒心」
「三人がかりでこの様とは幻滅ですよ…なのに貴女達は警告を無視して死にに来た…」

「私達は死なないわ…そういう身体なのよ…!」

「先程の攻撃は普通の存在に対してのものですよ…貴女達が本当に不死身かどうか確認しただけです」

「だから何よ?…何をされても私達は死なないわ!」

輝夜が怒鳴る
その様子を見て幽玄は輝夜に静かに近づいた

「輝夜ぁっ!くっ…身体が動かねぇ…!」

「な、何よ…!心臓の次はどこをやるつもりなの!?」

「身を以って理解しなさい…これが…不死を殺す攻撃です」

幽玄は輝夜の頭部に掌底を当てる
するとパタっと特に抵抗する事無く輝夜は倒れた

「!?」

「!?ひ、姫様?」

二人は驚愕した 特に大きな傷も負って無いのに輝夜はまるで死んだように動かなくなったのだ

「何をしたの!?」

永琳が幽玄を睨む

「彼女の魂を死滅させたのですよ そして死の状態に固定させた」
「不死者や転生者は大体これで終わります 命の流れを止めて死から蘇生や転生ができぬよう氷結させる」
「応用として生に固定させる事もできます 生に固定された者は力や薬を使わずとも不死身となります」

「ば、馬鹿な!?そんな事…」

「あ…ありえないわ…魂を…命を操作するなんて…貴方何者なの?」

「私は人間ですよ?」

「ありえない…ありえない…」

今度は永琳の前に幽玄が立つ
輝夜の時と同様頭部に掌底を当てる 永琳も輝夜同様それから全く動かなくなった

「理解しましたか?八意永琳 魂を壊すというのはこういう事なのです」

「う…そだろ…私達が…死ぬ?」

「次は貴女の番ですね」

「ひっ…」

妹紅が後ずさる しかし身体の自由が効かない為逃げたくても全く動けない
幽玄が妹紅の前に立った

「貴女にはちょっとお願いしたい事があります」
「まずは…そうですね…不死身ですし 一旦普通に死んでその動けない身体を治しましょうか」

そう言うと同時に妹紅に手刀が突き刺さり 妹紅は爆ぜて死んだ





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あとがき

第十八話終了 どうでしたか?

ついにスカーレット姉妹まで退場してしまいました
しかしその仇を取るかのように魔理沙一行が空龍を撃破
いや〜…魔法使い組みナイスファイトでしたね スカーレット姉妹殺したのはグウィンだけどね
そして神奈子と諏訪子がようやく登場 この二人もちゃんと活躍させたいですね
というか書いてて思ったことなんだけど戦闘描写が難しいんだよね
技名とかは宣言しないように心掛けてますね マスタースパークとかグングニルとかオンバシラとか
だって普通本気で戦う時って技名言ってる暇無いでしょ?お遊びではなく殺し合いですからね〜
まぁ緊張感とか雰囲気とか戦いの激しさとか伝わらなさそうだけどそこは頑張って想像してねw

グウィンは口調がアレなんで女ってのを忘れられそうですねw
こいつはふざけてる感が否めないけど
これでも第三世界でトップ部隊で戦争してたのでやる時はやる子です

さて…そろそろ魔理沙一行がピンチですね うん…多分死にます
誰かは知らないけど最低でも一人は絶対死ぬと思う ごめんね
そしてゆかりんは何時になったら動くんでしょうね

それじゃ何時まで続くか…完結できるかどうかは知りませんが 次話あとがきで会いましょう


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