東方輪廻殺
第二十九話 布石

パッチェさんによって本当にあっけなく終わった依頼の成功報酬で
適当に木材や鉄屑を各国から頂戴し東西南北にボロ小屋を建設する事になった

パッチェさんは何故か私の能力の応用(?)法を知っていて
初めて多人数と荷物を時空穴(転移の為の穴、今命名)を通ったのだが
全く失敗せず無事に所定の位置へ送る事ができた

ちなみに多人数の大半は私が召喚した僕達で建設の為に力を貸してもらう事になっている
これを考案したのは勿論パッチェさんだ 本当は召喚自体やりたくないのだけどな…

「何を言う…霊禍嬢の能力で出来る事は出し惜しみせずどんどん使わないと鈍るからな」

「能力に鈍るとか無いと思うけどなぁ…」

「使いこなして鬱陶しいその瘴気をどうにかしたいんだろう?」

ニヤニヤとした憎たらしい顔でパッチェさんは私を伺う

「う…仕方ないわね…」

「ふっ…それで良い…ただ我の言う通りにすれば良いのだ」

「はいはい…で?次はどうすれば良いの?」

人の形をしてないと言えども魔物達は数も力も知能もある
しょうもない話をしている間にすぐに小屋ができあがるのだ
私達(私とパッチェさん)は何もせず小屋完成を見るだけ…

「そうだなぁ…来るべきクロノスとの戦争に備え仲間を増やそう」

「どうしても戦うのね…」

「当然だ 邪魔だからな」

「はぁ…それでどうやって仲間増やすのよ?」

「何それも心配するな…ちゃ〜んとアテはある」

「…大丈夫なんでしょうね?」

「勿論さぁ…さて、もう疲れただろう?新築のボロ小屋でぐっすりお休み」

「むぅ…」

いつの間にか小屋ができていたようだ 既に他3つは作った後なのでこの小屋の完成で一先ず建設は終了だ
魔物達にお礼を言いつつ自己世界へと魔物達を返す

「話の続きはまた明日ねパッチェさん…おやすみ…」

「早く寝れ 夜番は我に任せろ」

何だかんだで味方のパッチェさんがすぐそばに居るからか
久々に警戒せずに私は眠りにつけた










「さて…と」

霊禍が眠りについたのを確認し携帯電話を取り出し
情報機関『黒翼』へと繋いだ

「もしもし?パチェナだ…今すぐ話がしたい…あぁ電話じゃなくて直にだ…来れるか?」
「………そうか…なら待ち合わせ場所は…そうだな…[ヤシ]で良いか?…よし…では待ってるからな」

パッチェさんは短い会話を済ませると 夜番の役目となる強固な結界を張り
物音一つ立てずに東南の大国[ヤシ]へと飛び立った



「お待たせしました パチェナ・ネヴィースチル」

黒翼がパッチェさんの許へ降り立つ
二人以外誰も居ない静かな公園でパッチェさんは待ちくたびれていた

「やっと来たか…」

ベンチからゆっくりと立ち上がり黒翼と対峙する
大分近づくと辺りがシンと静まった パッチェさんが結界を張ったのだ

「…それで…話とは?」

「うむ…一回しか言わないから良く聞け…まずは手配されてる霊禍嬢の件だが…」
「今日本日より居場所をクロノスにバラして良い…いや…むしろバラして欲しい」
「次に南西[ヘラ]にてイレイザーが活発化し活動しているという噂との『デマ』も流せ」

「もう居場所を口止めしなくてよろしいのですか?」

「ようやく最低限の準備ができたし我々はそれなりに動いたからな」
「黒翼はあくまで中立として動いているとされてるし いい加減情報を奴等に渡した方が良いだろう」

「ですが…場所をクロノスへ伝えればあっという間に潰されそうですがね…」

やられては困ると言いたげに黒翼が心配をする

「その潰されない為の最低限の準備ができたと言ってるんだ この地図を…」

パッチェさんが黒翼に地図を渡す 地図には印が付けられていた

「この印が…」

「そうだ…作ったばかりの我々の拠点だ」

「それぞれがえらく離れてますね…ということは空間転移の能力…転移に必要な時間は?」

「それは霊禍嬢次第だが…作業を顧みると…遅くて2,3秒で転移可能だろう」

「素晴らしい!…ふむ…これなら確かに…」

黒翼がどこか嬉しそうに地図を見つめながら考える

「…わかりました クロノスにコレを渡します…良いですね?」

その返答を聞いてパッチェさんはニッコリと笑顔で頷いた

「そうしてくれないと呼んだ意味が無い それともう一つ用件がある」

そう言って懐から何か赤黒い禍々しい札を差し出した

「この札の製作者が居ないか探して欲しい」

「…この札は?」

札を慎重に観察しつつ黒翼が問う

「クリェドゥスという物知りな爺から受け取った物でな 我も詳しくはわからんが…」
「どうもソレの製作者がこの世界に居て、かつそいつはきっと協力してくれるんだと」

「仲間…ですか」

「そうなる可能性が高い どういう根拠かイレイザーに居るかもという予想まである」
「わざわざ探せと命じた事からきっと今後必要な人材なのだろう…早急に探してくれ」

「わかりました こちらも調べてみますね」

「よろしく頼む」

「それと…我々、黒翼から貴女方に渡しておきたいものを預かっております」

「…それはまさか…」

地図や札のお返しだと言わんばかりに黒翼からもパッチェさんに封筒が渡される
パッチェさんは早速封を切り中にある手紙を読む

「ほう…流石だな…もうクロノスのボスの場所が…」

「えぇ…これで『おあいこ』ですね」

二人ともニヤリとさぞ悪そうに笑う

「あぁ…おあいこだな…これは早々に決着がつきそうだ」

パッチェさんが本当に嬉しそうにクックと笑う

「次に…『デマ』を流す理由を聞いてもよろしいでしょうか?」

「簡単な話だ 我々は何れイレイザーも支配下に置くつもりだからな」
「デマを流せば奴等を恐れる者は自然と離れるか鎮静化し逆の者は確認…あわよくば潰そうとする」

それを聞いて黒翼は顎に手を当て軽く思考する

「イレイザーを潰そうとする輩は…まぁ沢山いますね…それにはクロノスも入っている」

「だがクロノス以外はちっぽけなものだ そしてクロノスは噂よりも地図に注目する」
「そして散り散りになっているイレイザーの面子で行動力のある暇な奴はきっと集まるだろう」
「そこで黒翼には集まった[ヘラ]には住んでいない如何にも怪しい連中を全て記録し我に教えろ」
「イレイザーの面子が少し解るし逆に仇なす輩なら我々が駆除してやれば奴等から好印象を得られる」

「そして徐々に取り入って最終的にイレイザーを支配すると…今回はその為の軽い布石ですか」
「そう都合良くはいかないと思いますがねぇ…」
「まぁ[ヘラ]は大国…黒翼もそれなりに配備されてますから問題なく記録できます ご安心を」
「質問を重ねますが…何故[ヘラ]の国を選んだんですか?どこでも良いのでは?」

「あそこ一帯は荒野…隠れにくいだろ?それに他国と比べて人口も少なめさらに我等の拠点から近い」
「そして都合良くいかなくても問題無い…あくまで噂だったのだからな…損はしない」

「なるほど…」

黒翼は大いに納得した
隠れにくければその分早期発見、記録がしやすく
さらに人口が少ない分[ヘラ]に住んでるかどうかがすぐに解る
何気に黒翼にも気配りしてるんだなと内心感謝した

「それでは…もう用件はありませんね?」

「そちらこそもう質問は無いんだな?なら早く仕事に行け」

「ふっ…それでは…また…」

黒翼はあっという間に飛び去り
それを見送る事無くパッチェさんも拠点へ戻るのであった










「咲夜さん!探している例の三人の内一人の居場所が解りましたよ!」

夜が明けて早々に黒翼からの情報が入り部下達は嬉々として報告に向かった

「本当でしょうね?」

「黒翼からの情報ですよ?本当に決まってます 奴等は嘘は吐きませんからね」
「コレがその場所を記した地図らしいです」

そう聞くと咲夜は地図を奪うように受け取り穴が開くほど地図を凝視した

「それと気になる情報も…[ヘラ]にてあのイレイザーが活発に活動しているとの噂です」

「………噂?」

地図から目を離さず聞き返す

「はい…確かな情報が無いので噂だそうです どうしますか?」

「…所詮は噂でしょう?確たる情報が無ければ攻めても無駄骨よ それよりコッチね」

地図をひらひらさせてどっちを優先すべきか部下に説明する

「では…どこから攻めますか?拠点の距離を考えれば軍を使っても2箇所が限界です」
「細かく隊を分ければ4箇所同時に攻められますが…その場合勝算は低いかと」

「そう…なのよね…う〜ん…」

咲夜は悩んだ ようやく尻尾を掴んだのに新たな問題が出てきたからだ
地図に記された4つの印 世界大陸全体を囲うように東西南北に印されている
これだけ離れていれば嫌でも空間転移の能力者というのが解る
何故なら相手は単独に近い人数なのだから 多くない限り世界にバラけて拠点を設ける筈が無いのだ
それに軍を動かしてるのにも関わらず目撃情報は無かった ただの移動なら見つかる筈だ
散々追ってるルゥとシュウの二人組みもどちらかが空間転移の能力者だと判明している
たった二人をこれまで捕まえられなかった事から
空間転移能力はきっと総じて捕らえにくいものだと思ったほうが良い
ルゥとシュウは大きく移動できないのか拠点が沢山あり…それは世界各国と言っても良いほどの量
だが今回はたったの4つ…この娘が出現してからまだ日にちはそこまで経ってないが
今まで黒翼から隠れられてた事から相当な実力者だと伺える
そんな相手に貴重な戦力を4つに分けて攻めるのは非常に危険
大多数対少数とは言え敵の拠点に攻め込むのはこちらが圧倒的に不利になる 例え数が圧倒していても…だ
これは過去に戦ったイレイザーの一拠点を攻め落とした時から教訓としてきた事
いくらスカーレット・クロノスが大組織と言っても殆どが有象無象の雑魚ばかり
戦力は意外にも少ないのだ だからこそ4つには分けられない
しかし4箇所同時に攻めなければ逃げられるのが目に見えている
そして4つに分けた力不足な小隊では一網打尽にされる恐れもある…
そして…早急に攻めなければルゥとシュウの二人組み同様拠点を増やされる恐れもある
拠点を増やされるとどこへ攻めて良いかわからなくなる上
相手の逃げ道が増えてるので全てをマークする事は到底不可能になる

「これは…厄介ね…せめて相手の能力か戦力が解れば…」

「娘は単独かもしれませんが…魔物を召喚して使役しますからね…」

記録映像を思い出す 急に魔物が現れ下っ端達が一撃で倒れた
どれほどの威力かは解らないがマトモに食らえば終わりだというのは良くわかる
そしてあの魔物を召喚できるのは一体だけとは限らない
無数に召喚できるのなら全戦力をぶつけても勝てるか怪しいものだ

「…とりあえずこの件は保留ね…ボスと話して何時、どう攻めるか決めるわ」

「わかりました…何時でも出撃できるよう準備しておきます」

「しっかり部下達に言い聞かせて 先走らないようにと」

「了解」









「霊禍嬢ー!朝だぞ起きろー!」

パッチェさんの喧しい声が聞こえ目を覚ます
まだ暗いが確かに夜明け前のようで空に明るみが増してきていた

「おはよ…早いのね」

「だって我寝てないしーそれよりも興味深い情報が入ったぞ」
「南西の大国[ヘラ]にてイレイザーが活動しているという噂があるそうだ」

「…えーっと…黒翼からの情報?情報料は?それに噂でしょ?」

私が寝てる間にも黒翼と接触してたのか…そんな何度も良いのかなぁ?

「黒翼の情報は殆どが確かなものなんだぞ?そりゃ噂っちゃ噂だがな」
「あ、ちなみに料金はクロノスにツケといたから」

「そーですかー…で、どうしろと?その国に向かうの?私イレイザーは嫌なんだけど…」

「そう言わない クロノスに敵対してる以上協力を求めるなら絶対こっちが良い」
「敵の敵は味方って言うだろ?な?だから行こうぜ?てか行くから」

(何が何でも連れてく気だなこりゃ…)
「わかったわよ……じゃあ早速行きましょうか…」

「は?朝食がまだだろぉーが!何?そんな行きたかったの?我は空腹で歩きたくないんじゃボケ!」

折角行く事を決意したのに急に態度を変えて逆ギレするパッチェさん

「なっ!?そんな事言ったって最近は…朝食以前に貴重な食糧を1日で何度も食べるわけには…」

「ギルドで金稼げてその金で食べ物買えるから良いんだよ!何時までサバイバルしてるつもりだ?」
「慌てるのは金も食糧も尽きた時にしなさい 解ったな?」

言い終える前にすぐさま反論される

「うぅ…だって…」

「だってもクソもねぇよ 早く飯買ってこいや」

「…パッチェさんは一緒に来てくれないの?」

「もう一度言う…我は空腹で歩きたくないんじゃボケ!」

「………行ってきます」

不安と財布を抱えて最寄の国に一人で買出しに行く事になった 一緒に来て欲しかったな…





「変ねぇ…」

ルゥが突然呟く 何が変なのかわからないシュウは思わず聞き返した

「何が変なんですかぁ〜…姉御ぉ〜…」

「私達が滞在してるこの[ヘラ]にイレイザーが活動してると噂が流れてるらしいのよ」
「しかも出元は黒翼 しかし昨日までこの国はイレイザーらしき者は居なかった」

「…我々に見つからずに行動してたんじゃ無いですかねぇ〜…」

「それはありえない 冗談も程ほどにしてシュウ」
「クロノスに注意しないといけないと同時に私達はイレイザーにも注意しないといけないのよ」

「わかってますぅ〜…ちゃんとサーチして安全を確認しましたからねぇ〜…」

「これは調べてみる必要がありそうね…シュウ!疲れるだろうけどサーチお願い」

「えぇ〜…」

だるそうに生返事をする

「文句言わずに早くやる」

「怒らないでくださいよぉ〜……ふぅ…」

地面に手を付けて集中する その様子を片目にルゥはノートパソコンを立ち上げた
何かの名簿らしきものを開き様々な人妖をリストアップしてゆく
そしてシュウの作業の邪魔にならぬようにシュウの前にパソコンを置いた

「姉御…これはぁ〜…?」

個人のパソコンなんて普通見ないことからシュウはルゥのパソコンにリストアップされた
様々な人妖が誰なのか理解できなかった

「イレイザーのメンバーのリストよ データは大分古いけどね」

「いつの間にこんな…」

「もう忘れたかしら?ずっと前に奴等のアジトの一つに潜入したでしょ?その時にコピーしといたのよ」
「それで…サーチはどうなってるの?何か見つけた?」

一向にシュウからの情報を得られずルゥは待ちきれないと言わんばかりに聞いた

「少なくともリストの奴等はまだ見つかってませんねぇ〜…」
「ただ…噂の影響かは知りませんが昨日居なかった輩は何名か増えてますぅ〜…」

「ふ〜ん…噂の真偽はともかく何だか嫌な予感するわね…早々に出国した方が良さそうね」

「では支度しますねぇ〜…」

「あぁシュウはサーチ続けて 私がまとめて支度するから」

「わかりましたぁ〜…」





「こんなとこかな…」

食糧の買い物を済ませ帰路につく
そういえば最近は料理とかやってなかったな
その内調理器具も揃えておかなきゃ…

「…いや…待てよ?器具は買うより作ったほうがお金かからなくて済むかも?」

自己世界には優秀な仲間達が大勢居る…全員人外だけど…
誰もが万能なので案外こういった無茶振りにも応えてくれるかもしれない…試してみるか

(誰か…私のささやかなお願い聞いてくれるかな?)

自己世界に言葉を投げかけ呼びかける それに応えるように次々と返事が聞こえてくる
自分は一人ぼっちじゃない事を改めて認識し嬉しく思った

(料理の為に必要な器具をいくつか作って欲しいんだけど…できるかな?)

<材料はどうするんだ?>

<何かを生み出す能力者はまだ吸収してませんしねぇ…>

<魔物達を素材に作りましょう!>

と上からグウィン、ルクィ、アムの順で意見を出し合う
かつて敵同士だったのに本当に仲良くなったんだなぁと感心した

(魔物達を素材にするのはちょっと…何かグロいし…)

<覇斬の剣か鎧あたりなら金属を得られるんですがね…>

ちょっと残念そうにアムが呟く

<我が剣と鎧をそんなのに使わないで欲しいものだな それに加工できるかどうか…>

<ハッ!てめぇのご自慢の剣と鎧なんざ私の能力で簡単に潰せるっつーの 加工とか余裕だし>

素材にするのを拒む覇斬にグウィンが突っかかる

<むしろ潰せるのはグウィンしか居ませんがね…これでまだ強化されるというのだから恐ろしい>

(魔物達は外に出て無いと強化されない筈じゃ?)

ルクィの言葉に疑問を抱いたのですぐに質問
魔物達の時間強化は自己世界から出ている必要があった筈だ
その制限すら消えて勝手に強化されていくのだろうか?

<ええその通りです 外に出なければ強化はされません ですが既にかなり強くなってるのですよ>
<魔物型で覇斬と崩炉の大型種はグウィンの能力で無いとロクにダメージが通りません>

<そりゃ兄ちゃん含め貧弱すぎるからだよ ハハハハ!>

グウィンが楽しそうに笑い 他は負けないように精進すると躍起になった

(まぁ戦力があるのは良いとして…どう?器具作れそうかな?)

<繰り返しますが素材が必要ですね…何か役立つ素材を能力で吸収すれば或いは…>

(…何が必要?てか素材は何があるの?)

<今この世界にある素材は何一つありませんね>

あれ?これはちょっとおかしい
確か私はウサギ仮面の家やら竜鬼族の城脱獄の際の牢の扉やらを消し去った筈だ
他にも敵が装備していた武器やらも消し去っている
それらは素材として残ってないのだろうか?

<あぁ…それらは邪魔なのでグウィンが処分しました 実際不要でしたしね>

(そう…なんだ…なら今度から素材として戦闘には使えないものも吸収した方が良いかな…)

<この世界で何かを作るというならそうした方が良さそうですね>

(ん…わかった 役立ちそうなものや珍しい素材は可能ならそっち送るよ)
(しかし…処分したという事は補給が必要なのかな?)

<処分できたのは恐らく必要とされてなかったからでしょうね>
<素材だけでなく我々という存在も不要なら消せるという事ですね>
<今尚存在できてるのは必要とされてるから…必要としてくれてありがとうございます>

(そう…わかった…これからもよろしくね皆)

自己世界の皆との話が一段落ついたところで
パッチェさんが待つ拠点が見えてきた



「遅いんだよぉ〜!飢え死にさせるつもりか?あ?」

帰るなり早々に文句を言われた だが文句を言いたいのはこっちだ
何故ならパッチェさんが食事中だからである
さぞ美味しそうにご飯を食べ続ける…

「………今食べてるのに…飢えるわけないでしょ…てかいつの間に…そして私の分は?」

怒りを抑えて質問するが…パッチェさんは聞く耳無し
そして丼を空にして…

「ごちそうさまでしたww」

満面の笑みで嫌味を言ってきた こ…こいつ…

「あの…私の分は?」

「腹ごしらえしたし 早速[ヘラ]に向かいますか」

「聞いてよ!私だってお腹空いてるの!なのに何で先に一人で食べてるのよ…」

「はぁ?腹減ったならその買ったばかりの食糧でも食えば良いだろ さぁ行くぞ」

「………」

渋々出発準備を始める
生野菜を齧りつつ南の拠点へ転移した






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あとがき

第二十九話終了

準備回でしたね 第七世界は今までより長く滞在するつもりですからのんびりやってます
今回の準備で大分慌しくなるかと思います
書いててスカーレット・クロノスがやたら組織に反するものの駆除に力入れてるなぁと思いましたが
クロノスは小さな輩でも喧嘩を売られたらトコトン始末する方針みたいな認識にしてくれれば良いかと
そして今回で黒翼とパッチェさんが明らかにグルというか繋がってるのが判明しましたね
何故黒翼がパッチェさんの言いなりなのか…
まぁこの世界に入ってすぐに色々やったんだろうなって事なんでしょう
不自然にならなければ劇中で書き上げたいと思います
さて、いよいよイレイザーとの接触やルゥ&シュウを動かせそうですね
特に二人組みは5話で結末が既に解ってますからどう始末するかが悩みますなー
時間軸ズレてるのはこの小説じゃよくあるっつーか結構意図的にやってるので楽しんで下さいなw
まぁまだズレらしきものは1つしか無いんですけどね

それじゃ何時まで続くか…完結できるかどうかは知りませんが 次話あとがきで会いましょう


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