東方輪廻殺
第三十ニ話 待機

「出国の支度は済ませたわ シュウ そっちはどう?」

荷物を纏め終えたルゥは未だパソコンと睨めっこしているシュウに状況を問う

「それがですねぇ〜…何やらお宝の情報らしきものが出ましたよ姉御ぉ…」

「お宝? 何? イレイザー探しはどうしたのよアンタ」
「というかお宝の情報なんて随分久しぶりね アテ無く出国するよりマシね…行こうか」

情報の詳細も聞かずに目的地を決定するのを聞いてシュウは思いっきり嫌そうな顔をした

「何? ヤバい山なの?」

「どうやらお宝はあのネミセトにあるらしいですぅ〜…行かない方が良いですよぉ〜…」

「ネミセトォ!? 何でそっから情報出てくるのよ? 誰か行ったわけ? 情報の出元は?」

信じられないようでシュウに問いつつパソコンを覗き込む
画面にはお宝や情報の詳細を調べようとした感じの形跡であり
シュウ自身ずっと確たる情報を探していたようだった

「出元は黒翼ですぅ〜…しかしイレイザーの件もあり信用ならないので調べてたんですが…」

「出てこなかったと……う〜ん……黒翼かぁ…」

行くか行かないか悩んでる様子だ
出来れば行きたくないシュウだがリーダーは彼女なので問いかける

「信用できる組織ですが場所が場所ですしぃ〜…どうしますぅ〜…?」

「そうねぇ…久々のお宝だもんねぇ…」

う〜んと深く悩む二人…正確にはルゥ一人だけだが
長い沈黙の後ついに決心したようで顔を上げた

「決めたわ! ネミセトに行くわよ!」

「えぇ〜〜!!?? 嫌ですよぉ〜…禁域なんですよぉ〜?」

シュウが即答で嫌がる
そのシュウに対して説得するようにルゥが語り始める

「禁域だからこそよ 誰も取れないすっごいお宝があるんじゃない」
「それに此処からは出る事は決まってるの ただ出るよりかはやっぱりお宝求めた方が良いでしょ」

「ですが今まで無事に帰れた者は殆ど居ないんですよぉ〜…? 危険すぎますよぉ〜…」

「ビビってるわけ? 大丈夫よ 私達は十分な経験を積んだ一流のトレジャーハンター」
「禁域ってだけで逃げるようじゃとびきりのお宝はGetできないわ!」

「命以上の宝なんて無いですぅ〜…」

「命大事な奴がこんな賊みたいな事するか! ホラ行こ行こ」

「嫌だぁ〜…!」

シュウを引き摺り二人は[ヘラ]を後にした






「………移動したな」

黙々と昼食をとっていたところでパッチェさんが突然呟く
何の事だろう?
あ、因みに「鋼鬼刃」はパッチェさんの交渉もあって50万Gで売れた しばらくお金には困らない

「…何が?」

「例の二人だ つい先ほど[ヘラ]を出国した」

そういえば発信機付けてるとか言ってたな…
だからリアルタイムで解るのか…

「…という事はネミセトに向かったのかな?」

「それはまだわからん 奴等二人にとってイレイザーは脅威だからな」
「イレイザーを恐れてただ出たかもしれない…」

「そう…まぁ無理にネミセト行かせる必要は無いし 今まで通り泳がせておくんでしょ?」

「そうだな…クロノスの部隊とドンパチやってるのを見たかったが…まぁいい」

「それよりもこの黒翼から取り寄せた素材は何なの?」

幾つか小分けされた袋 幾つかあるようだが…
パッチェさんは何を作らせたいのだろうか?

「何、他愛も無いやつさ 汎用性が高いモノを選んだつもりだ」

詳細を聞けば取り寄せた素材は
鉄、鋼、銅、銀、プラスチック、ガラス、糸などの何かの作成用と
宝石類の原石らしい 宝石は売る用だそうだ 一部はまた別の何かに使えるらしい

「しかし何でもかんでも増やせるとは限らないわよ?」
「アダマンタイトだってたまたまだったかもしれないし」

「霊禍嬢はもっと自分の力を信用しろ」

「信用しろって言われてもなぁ…」

正直この次元能力は好きじゃない
確かに強力で何度も助かったが使う度に人の手に余るモノだと感じている
空間転移に留まらず己自身の転生に圧倒的威力を誇る抹消攻撃、さらに吸収したものの無限利用…
今回の量産加工だけ見てもいくらでも物を増やせるというとんでもない事をしているのだから
いつか自分の能力に飲み込まれる…その不安がとても大きい

「まぁ己の信用云々は後で頑張ってもらうとして」
「イレイザーの件が終わったら拠点強化だな 加工の練習として鉄やら鋼やら使って小屋造ろう」

「それなら良いわ 木造のボロ小屋じゃどう考えても大砲で一撃だもんね」
「寝てる時に砲撃されても良いようになるべく頑丈に造ろう…!」

「造るのは霊禍嬢だがな 我は手伝わないよ」

「わざわざ言わなくても良いのに…」
「それにしてもこれだけ素材あるなら色んな罠が作れそうね」

罠作りは第四世界での幻想郷で師匠から教わったが
結局不発で終わったからなぁ… そういや罠の後片付けしてない…まぁいいや…

「ほう…罠作れるのか…意外だ」

「ふっふ…師匠から色々教わったからね」

「色々だなんて…やらしい娘…」

若干にやにやしながらやらしいを強調しつつ連呼するパッチェさん

「何よやらしいって! 私はやらしくないしそんなの教わってもいない!」

「じゃあ何だよこのけしからん胸は いやらしい…!」

「ひゃぁっ!?」

突如モニュモニュと胸を揉んできた 悪戯にしても止めて欲しい

「ちょっ…どこ触って…いや揉んでるのよ…や…止めて…ぁん」

殴り飛ばそうにもご丁寧に結界を張っており阻害された
それどころか急に両腕が思うように動かせなくなり抵抗ができなくなった
良いように揉まれ続ける

「どこってそりゃあおっぱいですよ そのいやらしくてけしからん乳房ですよ」モミモミ

さらに一層激しく揉んでくる こんな昼間から止めてぇ!
や…やだ……嫌なのに…嫌なのに……気持ち…良い…?

「んぁっ…や…止め…止めなさい! あっ…だめっ……そんな強く…やぁっ…」

「お客さん随分こってますねー…ほら肩揉み続けるから抵抗すんな」モミモミ

「アンタが揉んでるのはんぁあっ!…肩…じゃなくて胸でしょ…お願いだから…止めてったらぁ…」

先程よりいやらしく…そして優しく…それでいて激しく胸を揉んでくるパッチェさん
一向に止める気配が無い 力が抜けていく…特に乳首を弄られる時が一層力が抜け出る
何故…何で力が入らないの!

「うぁぁ……て…抵抗できにゃい…あぁんっ! もう…やぁぁ!」

「んじゃ止めよっと ホイ」

「えっ?」

止めるつもり無いと思ったところで急に止める 同時に両腕も普通に動かせるよう戻った
何故止めたんだろう…パッチェさんは本当によくわからない…助かったけど
決して続けて欲しかったとは思ってない 断じて絶対にそんな事は思ってない

「はぁ…はぁ……何で…」

「これ以上続けたら無駄に注目集めちゃうから」
「それにしても胸だけであんなになるなんて霊禍嬢敏感なんだね♪」

先程の私を思い浮かべてるのかクププと笑いつつこちらを見る

「知らない…あんなの知らない…」
「何だかふにゃってなって力が入らなくなるから冗談でももう二度とやらないで頂戴」

「考えておこう」
(性的快楽を知らんのか…今までそんな余裕無かったからかな?)

「絶対止めてよね! もう〜…まだ何か変な感じだよぅ〜…」

胸が熱い…というか身体全体が火照ってる…
ただでさえ晴天で暑いのにさらに暑くしないでもらいたい

「それで…どうだ?」

「……………ちょっと気持ち良かった…」

「そっちじゃなくて罠の方」

「バカァ! それ早く言いなさい! 余計な事言っちゃったじゃないのぉ…もうやだぁ…」

恥ずかしさのあまり突っ伏せる
そんな私の反応が随分楽しいようでパッチェさんのにやけ顔は納まらない

「何 気が向いたらまたしてあげるから怒るな」

「余計なお世話よ!!」

「ハハハハハ 遠慮するなw」

まだからかわれてる…さっきから赤面しっぱなしで恥ずかしい
ホントもう…勘弁して…






霊禍が赤面してる一方でとある組織…『イレイザー』もまた混乱の渦中にあった
薄暗い洞穴の奥で何者かが物にあたり怒りを発散している
ガンガンと音が響く中もう一方が軽く宥め続けるが
付き合いが長いのか半ば諦め気味で宥め方も適当になりつつある

「クソッ! …クソッ!」

「いい加減キレるの止めなよ」

「そうは言ってもねぇっ!リグルッ!我々は来るべき時が来るまで潜伏する手筈だった!」
「それがどこの誰とも知らぬ輩が嘘っぱちを流した所為で同士は早とちり!また振り出しよ!クソッ!」

計画を台無しにされた怒りがまだ収まらないのかまだまだ八つ当たりを続ける
リグルと呼ばれたもう一人が何度目の説明だと言わんばかりの表情でまた同じ事を繰り返し答える

「だからすぐに動かないよう部下達に命令を下したって言ってるでしょう幽香」
「でも私の蟲達にも限界がある 伝達は間に合わなかった…勝手に動いた無能は切り捨てましょ」
「それよりも偶然なのか定かでは無いが私達の潜伏地点がこの[ヘラ]だとバレた恐れがある」
「一刻も早くこの嘘を流した輩を始末するのが先だと思うけど?」

「わかってるわよそんな事っ! でも下手に動くとすぐに黒翼に見つかる!」
「奴等の目がこの国に向いてる以上動きようが無いっ! だから怒りが収まらないのよっ!」

思いっきり蹴りを入れて轟音が響く
リグルは計画の立て直しよりもまずはその騒音をどうにかしたかったが
こっちが嫌な顔すると怒りが収まるのがより遅れるので顔には出さず我慢した

「はぁ…今更だけどやっぱり潜伏先を荒野のヘラにするのは失敗だったね」

「全くよ…自然が無いから此処には居ないという先入観を持たせる意味で此処を選んだのに…」

少し怒りが収まったのか未だに壁を殴り続けてる幽香だが声の方は落ち着き始めていた

「で…まだ何もわからないの?リグル」

「だから私の蟲達にも限界があると言ったろう そんなすぐに調べられないよ」

「あ〜あ…早く此処から出たいわ…」

「蟲達の報告待ちだね 外を見る限りまだ黒翼が飛び回ってるし 暫く出れそうにないな」
「少し寝てたら? 状況が動き次第起こしてあげるよ」

「わかった…頼むわよ」

簡易ベッドにも入らずすぐに眠りにつく幽香
リグルはやれやれと言った感じでベッドに移し毛布をかけてやった後
静かに時が来るのを待った
噂に流されたイレイザーの下っ端達の様子を監視しながら静かに待った




その下っ端達は状況がわからない為か幽香達以上に怒りと混乱に満ちていた
小さな酒場からちょっとガタイの良い男が悪態を吐いて出てくる

「クソッ…此処もダメか…掃討作戦は"今"じゃねぇのかよ?」
「…だがあの黒翼の情報…デマとは思えねぇ…もう少し粘ってみるか…」

煙草を吸いながら休憩しているとまた別の男が近づいてきた
こいつもまたイレイザーの下っ端である
こちらはコートを羽織っており余計に暑そうだ

「よぉ…そっちもダメみたいだな…」

「あぁ…急いで来たんだが今ン所無駄骨だ…」

軽い挨拶を交わし互いに紙切れを交換する
中身を確認すると返すようにまた互いに紙切れを交換
イレイザーはこうして紙切れにある暗号で仲間かどうかを判断するのだ
暗号の交換に応じなかったり交換内容が暗号でない場合は敵という決まりだ
それを観察していたリグルはもっと隠れて確認をしろと頭の中で愚痴ったが
下っ端に期待するのも無駄な事だなとすぐ諦めた

「お前はこれからどうするんだ?」

すっかり灰になってきた煙草を捨てコートの男に尋ねた

「武器を切らしてたからな…休憩も兼ねて武器屋に寄ろうと思う」

「ほう…俺も付いて行って良いか?」

「あぁ構わねぇよ 良い品あると良いなぁ…」

吸殻を踏みにじった後二人は武器屋へ向かった
それを追うように小さな羽虫もまた付いて行った



「いらっしゃいませ」

武器屋に入店し適当に見て回るが目ぼしい物は無かった

「あ〜…店員さん 何か良い得物は無いのかよ?」

「そうですね…つい先程仕入れたばかりの逸品がありますよ」

「ほぉ…とりあえず見せてくれ」

「これです どうでしょう? 今時珍しい刀ですよ」

「刀剣かよぉ…銃のが好みなんだがなぁ…」

「まぁまぁそう言わずに この刀…なんとアダマンタイトで出来てるんですよ!」

「何っ!? 鋼じゃねぇのか?」

下っ端達は驚愕した アダマンタイトの加工難度は有名だからだ
この世界の科学力ではどうしても棍棒が精一杯なのだ
良くて槍だがお粗末なもので発掘こそされているものの
武器化はまだまだ高が知れてる物だった

「はい!『鋼鬼刃』といいます これ一本しかありませんがどうでしょう?」

「………高いんだろ?」

「そりゃあ今までの物とは別格ですからね 80万Gです」

笑顔でとんでもない金額を口にする店員
下っ端とはいえイレイザーの一員 多少金には自信があったが予想以上だったようだ

「高すぎるっ!買えるかっ!」

「それは残念です」

「チッ…じゃあもう行くわ この手榴弾1ダース購入だ これで足りるな?」

「それは2万Gですね 5万Gお預かりします 3万Gのお釣りです確認を」

お釣りを確認後二人は颯爽と出て行った
入れ替わるように小柄な人物が入店する
顔が確認できない程着込んでいるので性別すらわからない

「ありがとうございました〜 いらっしゃいませ〜」

「鋼鬼刃を購入したい」

小声でやや聞き取りづらいが声色からして女性のようだ
小柄な女性は店内を見て回る事をせずすぐに店員に注文する

「鋼鬼刃ですか…80万Gですが…」

値段を言い終えたところで懐から100万G出し札束を無造作に放り投げた
早くしろと言いたげな雰囲気だ

「た…確かに…20万Gのお釣り…です か、確認を…」

ただ者ではないと察したのかすぐにお釣りと鋼鬼刃を手渡す
鋼鬼刃をじっくり観察してたがその内満足したのか鞘に収める

「最近仕入れたようだがどこから?」

「一人の女性から直接売り込まれました」

「そいつは誰?」

「少しお待ち下さい…え〜っと…『パチェナ・ネヴィースチル』という方ですね」

「わかった 感謝する」

もう用は無いのかすぐに帰っていった

「あ…ありがとうございましたー!」




「ふぅ…見つからずに済んだな」

買い物を済まし洞穴へ戻るリグル
荷を降ろし購入したての鋼鬼刃を取り出し改めて刀身をよく観察する

「私の目から見てもアダマンタイトだが…やはり試さないとな」

洞穴に転がってる大岩を見据え息を整えた後一閃
大岩は音すら鳴らずに綺麗に斬れた 崩れ落ちた岩の音で幽香が目覚める

「………確かにただの刀では無さそうだな」

曇り一つ無い鋼鬼刃の刀身を見つめぼやく
それを怪訝な顔で見ていた幽香に気づいてリグルは謝った

「起こしてしまったか…すまないね」

「それ…何?」

刀を指差し何かと問う 綺麗に斬れた大岩を見て普通ではないと幽香も察したのだろう

「これか…鋼鬼刃という刀でさっき買った」
「下っ端達を監視してたら武器屋でアダマンタイトで作られた刀があると知ってね」

「アダマンタイト? 本当なの?」

「さぁね…試し斬りしてみたけどただの刀じゃない事は確かだよ」

「ふぅん…ちょっと私にも試させて」

「どうぞ」

幽香もリグルと同様に大岩に試し斬りをする
同じくして音も無く斬れ岩は崩れ落ちた

「…岩が抵抗も無く斬れる…音すら鳴らずに…手応えを感じないから少し不安ね…」

「手応えなんて二の次でしょ まだ試す必要はあるが盾を貫通して斬り殺せるかもしれないよ」

「そうね…しかしリグルが刀だなんて似合わないわね」

軽く振り回した後リグルに鋼鬼刃を返す

「欲しいならあげるよ?」

「要らないわ 私の武器は私が選ぶ それにその刀片腕で振り回すには少し重過ぎるわ」

「重いかなぁ? 本格的に衰弱してるんじゃない? それともこの辺りには自然が少ないからかな」

どこが重いのかと言わんばかりにヒュンヒュン振り回し
大岩をあっという間にバラバラにする

「それで…何か解った?」

「この鋼鬼刃を売り込んだ人物だけ 他は未だ情報待ち」

「そう…流石にすぐ状況が動くわけではないか…売り込んだ奴って?」

「パチェナ・ネヴィースチルという奴だ…聞いた事も無い 今蟲達を使って調べてる」
「この刀は仕入れたばかりと店は言っていた もしかしたらこの国に居るかもね」

「ふぅん…使える奴だと良いわねぇ…」

「鋼鬼刃の売り込みが真実なら未知の技術を持つ何者かと繋がりがあるだろうね」

リグルは引き続き国を観察し始め
幽香は国を一望した後また眠りについた






「うおらぁっ!」

「はぐぅっ!?」

突然蹴りを入れてくるパッチェさん
唐突すぎて防御する間もなく蹴り飛ばされた

「な…何を!?」

「誰かが我の噂をしてるかもしれないな」

? どういう事だ?

「………………は? …えっとそれって一般的にはくしゃみとかじゃない?」

「そうかもね とりあえず静かにしろ 怪しい輩がウロウロし始めてるからな」

目立たない店に入り注文するパッチェさん
金に余裕ができたからっていきなり使いまくるのはどうかと思うが…
それに先程昼食を食べ終えたばかりなのにまだ食う気か…

「パッチェさんが蹴り入れなければ普通に大人しくしてるわよ…全く…」
「それでイレイザーは見つかりそう?」

同席し私も注文する
こんな荒野が広がる国でも流石は大国に分類されてるだけあり
料理の種類は豊富だ

「何人かはそれっぽい奴等が居るな…だが行動がお粗末すぎる…下っ端だろう」
「そんな雑魚には興味が無い もっと大物が釣れてくれると嬉しいんだがなぁ…」

「………」
(釣り?…もしかしてイレイザー活動の噂を流したのはパッチェさんか?)
(考えてみればこの活動の噂、イレイザー側にはメリットを感じられない…)
(黒翼には信頼を置いて情報をやり取りしてるかもしれないが黒翼は中立だしイレイザーは殺し屋…)
(イレイザーに関する情報は知られたく無い筈…なら黒翼は警戒して信用しない…と思う)
(…イレイザー側から噂を流したのならクロノス、黒翼の注意をヘラに向けて何かするつもりなのかな…)
(あぁダメだ…やはりどういう組織か知らない以上わかんないや…)

色々考えてみるが何にもわからないので思考停止し
クロノスが気がかりなのでどう動いたかパッチェさんに聞いてみる事にした

「大物なんて出てこないと思うけど……ところでクロノスの動きは把握できないわけ?」

「…全て把握しろって言うなら数が多すぎて無理だ 何処にでも精通してるからな」
「だから武力行使する部隊だけ警戒している こちらに向かってるのは確かだ」

部隊が向かってる? 噂だけで動かせる程余裕があるのか?
もしかしたらクロノスは思った以上に規模が大きい組織かもしれないな…

「それは把握してるんだ…何処から来てるの?」

「東方の[フェクマ]からだな…4日くらいで此処に到達するだろう」

「4日か…流石にそこまで掛かるんなら互いに無駄骨で終わりそうだけど…」

「そんな事はない 確かに向こうは無駄骨かもしれんがこっちは既にメリットだらけだ」
「時間稼ぎができたのとイレイザーが多少割れた事…後は加工量産可能の自覚とかもか」

「でも此処に来た当初の目的はちっとも達成できてないわ」

「イレイザーも警戒してるからな 接触が遅れてるのはまぁ仕方ない」

だからと言ってこっちも隠れてたんじゃ進展のしようが…
黒翼警戒の為とは言え悠長にしてて良いのだろうか?

「でもイレイザーらしき存在は幾つか発覚してるんでしょ? 接触した方が早そうだけど…」

「雑魚にコンタクトしても意味が無い 我々も噂に釣られた雑魚だと思われてしまう」

「実際に釣られたようなものじゃない? 噂が元で此処に来たんだし」

「ん? あの噂は我が流したと説明しなかったっけ?」

…やはりイレイザー活動の噂はパッチェさんのデマだったか…

「聞いてないわよ」
「私が聞いたのは二人組みの場所と行動及び私達の拠点の場所をクロノスに渡した事だけ」

「他者の利用の授業で隙を作るためイレイザーの場所もクロノスに教えたと答えたろ」
「ヒントを出し霊禍嬢自身がその答えを出したから既に解ってるものだと思ってたんだが…」

「あの肯定は二人組みに対してだけと思ってたわ だってイレイザーに関してはさっぱりだもの」

「そう…か…まぁともかく此処に来る事となった噂の出元は我だ」
「一刻も早くイレイザーの協力を得たいからな やはり仲間は欲しい」

「頭下げて入れてくれるよう懇願すれば早そうだけどねぇ…」

「霊禍嬢…頭を下げるというのは立場が上の時にこそ効果があるものだ」
「それに厄介事を持ち込んできた怪しげな輩が仲間にして下さいと言ってきて仲間にするのか?」

「………普通は断りそうね…」

「だろ? だからせめて使える奴だと思われないとな」

「どうするのよ? 力を見せるにしても問題ばかりだと思うけど」

「何言ってるんだ…力を見せ付ける格好の的が運良く都合良く向かって来てくれてるじゃないか」

なるほど…つまりパッチェさんの狙いはこうだ
噂を黒翼に流させクロノスの注意を向ける 序でに二人組みの情報も渡しほぼ確実に動かす
イレイザーはすぐさまデマだと理解し怒るだろうが噂に注目する筈
クロノスがやってくればそれを我々が撃退しイレイザーにアピールする
力がある事を証明すれば後は交渉次第でイレイザーを仲間に迎えられるかもしれない
クロノスが来なかった場合はどうするのか予想できないが…
既に部隊が向かっている事は確定 考えなくて良いだろう
全てが無事に済んだ場合クロノスの戦力は減りイレイザーは仲間になる
仲間になればパッチェさんが最初に挙げた私が抱える五つの問題は残り二つだけとなる
上手くいくと良いけど…

「………力を見せ付ける際に問題があるのでは? 黒翼が黙ってないでしょう?」

「部隊が壊滅する時点で黒翼を使わずとも我々の脅威はクロノスにもアピールできるだろう」
「そうすればおいそれと手出しできなくなる 我々の活動時間が飛躍的に延びる バレても構わんよ」

「でも…クロノスは警察や政府にも内通しているんでしょ?」
「折角すり替えた指名手配がまた逆戻りになって最悪あっという間に世界を敵に回すわ」

「力を見せ付けるのはイレイザーと接触後だ…イレイザーも既に世界の敵のようなもの」
「イレイザーが仲間になればこの世界全てと敵対する事は絶対にない 大丈夫だ」

「う〜ん…幾らなんでも無謀な賭けに思えるわ…」

「大丈夫だ クロノスさえ潰せば世界の敵なんてどうとでもなる」
「クロノスの敵=世界の敵という現状を破壊するのが大事なんだ」

「そう…わかった…信じてるからね」



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あとがき

第三十ニ話終了

割と長く間を空けてチマチマ書いてるからか
よくどんなシナリオだっけ?とわからなくなる事がありますw
もしかしたら劇中で言ってた事と違うじゃんみたいな展開もあるかもしれません すまんね
これでも読み返しながらやってるんですがね…いやはや難しいものです

とりあえずイレイザーがようやく出てきましたね
緑髪自然コンビの幽香とリグルです よく二次でリグルは幽香の僕みたいな描写を見かけますが
こちらは完全に対等で幽香もリグルも大妖怪と超大物です
セットにしたのはよく見る組み合わせというわけではなく花と蟲という自然界繋がりですね
他にもイレイザー大物級で東方キャラ1,2人程決めてますがまだ出てないので伏せておきます
もしかしたら夜魔族雄みたいに決めていても出ない事もあるからね
変に期待させるよりかは展開没ったらそのまま消えてもらおうかと

今回話はあまり進みませんでしたが
いよいよイレイザーが絡んでくるのでそろそろ戦いに入るでしょう
戦闘描写はかなり苦手なのでなるべく頑張りたいと思う
でも本当に頑張りたいのはエロ描写なんですけどねw
今回突然おっぱい揉みだしたのも息抜きみたいなもんです
これからもちょくちょくエロ描写挟みたいですね 禍たん可愛い

それじゃ何時まで続くか…完結できるかどうかは知りませんが 次話あとがきで会いましょう


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