東方輪廻殺
第三十三話 邪魔

「よろしいのですか? お嬢様」

テーブルの上に散らばる大量の資料を流し見て咲夜が問う

「………何が?」

「遊撃部隊をヘラに送り込む事ですよ」
「どんなに急いでも3日は掛かります…さらに真偽はどうあれイレイザーの活動地点」
「私には正直…二人組みにも逃げられるしイレイザーにダメージは与えられないと思いますが」

「…ま、普通はそう思うわよね」

当然の反論だとわかってたように気にする事無く紅茶を嗜む

「理解できません! 既に二人組みは移動した可能性が高い」
「居るかもわからないイレイザーを気にして攻撃するとでも言うのですか?」

「そうよ」

即答で肯定するレミリア 咲夜は驚愕しさらに噛み付く

「!?……私にも納得できる理由をお願いします」
「ターゲット"レイカ"の拠点を攻める事よりも優先しなければならない理由を」

「運命だから…では納得できないかしら?」

レミリアは理由を述べるのが面倒くさいと言わんばかりに口癖の運命で片付けようとする

「当然です お嬢様はまだ回復の最中 能力は使えない…」
「ならば奇跡を信じず確実に一歩一歩進むべきです…何故こんな手を…」

「そう…ならこんな理由ならどうかしら?」
「私の居場所が敵にバレたわ 流したのは黒翼」
「その情報が流された場所が[アークム]及び[ヘラ]の近くよ 黒翼に高い情報料を払ったから確かよ」
「誰に流したのかは教えてくれなかったけどね…で、レイカの拠点の一つはこの二つの大国の間にある」
「今、ヘラにイレイザーの活動の噂が流れてるがほぼ間違いなくデマでしょうね 勘だけど」
「これは我々に対するレイカの攻撃よ…高い確率でレイカはヘラに居ると睨んでるわ」
「だからイレイザーは序ででレイカを始末する為の遊撃派遣といったところかしら」

「………黒翼に払った情報とは?」

「アダマンタイトの精密加工方法」
「これを秘密裏にしてきたから我が組織の装備は充実してたけど」
「加工法が流出した以上今後はそうもいかない 気をつけなさいね」

「はい…では何故レイカがヘラに居ると?」

「情報を受け取った場所がヘラに近いからヘラで何かを見たいんじゃないかしら?」
「多分私達が完全に無視を決め込んでも何かを得た筈よ そうなるくらいなら突っ込んでみましょ」
「それで…納得したかしら?」

「…はい……私に話を通す事なくそうされたのは些か不満ではありますが納得はしました」

「よろしい…では次の作戦を考えておきなさい 多分…今回のでは倒せないと思うから」
「二人組みは確認次第急襲を掛ければ始末できるでしょう 転移の範囲もわかったしね」

「了解しました」





月明かりも無い深夜
洞穴の奥で情報を待っていた二人の許に蟲達が帰ってきた
大群の蟲達が放つ静かなる騒音に幽香は目を覚ます

「来たみたいね」

「そうだね…良い報せだと良いけど」

「虫の報せに良いお知らせってあるのかしら?」

「ハハッ 悪い報せがお望みかい?」

「冗談 それで何がわかった?」

「…良い報せと悪い報せがあるけどどっちから聞きたい?」

「………じゃあ悪い方から頼むわ」

しばらく考え込んだあと悪い方から聞くと選択する
リグルは幽香の顔色を窺ってから口を開いた

「…今回の噂の件で掃討作戦は中止だってさ」

「…クソッ! やっぱりか…はぁ〜ぁ…何の為に長年潜伏したんだか…」

「ま、こんな事もあるさ それで良い報せだけどパチェナは結果的に見て利用価値が高い」

「…詳しくお願い」

「私が鋼鬼刃を購入しその売り込みをしたのがパチェナだって説明はしたね?」
「そいつはまだヘラから出国していなかった どうやらレイカという存在と共にしている」
「会話を盗聴して推測するとパチェナとレイカはクロノスを潰したい」
「その為かイレイザーを仲間にしたい様子だ その為に噂を流したようだ」

「そいつ等が掃討作戦を台無しにしたって事? なるほど…じゃあ消しちゃう?」

「早まるな 話の途中だ 利用価値があると言ったろう」
「腕に自信があるようで数日後に来るであろうクロノスの部隊を壊滅させるつもりのようだ」
「また、奴等は何かの加工量産ができるようになったみたいだ」
「何を加工できるかは不明だが恐らくアダマンタイトだと私は予想する」
「私は一度接触してみてイレイザーに迎えるのが得策だと思うけど?」

「………貴女に任せるわリグル」

「…解った じゃあ私なりに動いてみるよ 幽香はこれからどうする?」

「手ぶらで帰るのは癪だし そのパチェナ一行を見てから決めるわ」




夜が明けた
高い金を払って宿に泊まったがお世辞にも良い宿とは言えなかったな
パッチェさんは既に起きてたようで寝てる私の身体をアチコチ触って反応を楽しんでたらしい
寝てる間でも警戒はしてた筈だが…くそぅ!

「修行不足かなぁ…」

「十分強いだろ それとも何か?イレイザーに遅れを取らないようにってか?」

「パッチェさんに悪戯されない為によ もう…汗でシーツがビショビショじゃない…」

「いやこれ汗っつーより愛液じゃねーかな…ほらスカートも含めてお漏らししたかのように濡れてるし」

「誰の所為だと思ってるのよ! もぅ…パッチェさん着替え持って来て」

「ほい」

鞄から着替えを取り出し手渡す パッチェさん特製の私専用の服だ
私自身が発する瘴気や邪気に耐えられる服らしい
今まで私が着けてた服と同じで崩れる事は無い
何時までも着替えないのは何か不衛生だしね
やっぱりちゃんと着替えたい  特製品を作ってもらったのは当然
他に買ってきた服がボロボロに崩れた経緯あってのものだが
それは話したくない過去の話だ

「どうも」

「じゃあこれは洗濯行きだな 霊禍嬢の服は少ないからあんまり汚すなよ?」

「誰の所為だと思ってるの?」

着替えと朝食を済まし宿を出てすぐに小柄な人に話しかけられた
どうやら私達を知っていてしかも待ってたらしい

「初めまして 大事なお話があるのですが付き合ってくれませんか?」

顔は見えないが女性のようだ そして私が作った鋼鬼刃を見せてきた

「それは私の刀!」

「アレかなり高く売ったから誰も買わないだろうと思ってたけど僅か1日で売れたのか…」

私もパッチェさんも少し驚いている 驚く点がズレてるけど…

「話というのは鋼鬼刃についての事?」

「それも含まれます」

「言っておくがどうやって作ったのかって話なら企業秘密だぞ?」

「構いません」

構わないと言いつつ引き下がらない…どうやらどうしても話をしたい様子だ
あの重い刀を軽々しく扱いさらに大きな妖力を隠している…少し危険な人物だが…
どうするか…念話で相談する

<パッチェさんどうする? 見た感じ強い妖怪だけど厄介そうな話よ>

<待ちかねたイレイザーの大物の可能性が高い 向こうから来てくれるとはな…ククッ>
<あと奴はどこからか我等を盗聴してたようだな それなりに警戒しておけ>

<解った…じゃあ付いていくのね?>

<あぁ…思ったより早く事を運べそうだからな>
「OK 話を聞こうか 此処じゃダメなのか?」

「ありがとうございます では付いてきてください 黒翼には聞かれたく無いので」




「ここなら良いでしょう」

街から大きく離れた古い採掘場の中まで案内された
もう使われてないらしくもはや単なる洞穴だ
ここでようやくぶかぶかのコートを脱ぎ顔を見せてくれた
まっすぐ伸びた長い緑髪が目に付き次に頭頂部から異質な触覚が生えている

「初めまして…イレイザーに所属するリグル・ナイトバグと申します」

まさかのリグルさんでした
幻想郷での…言っちゃ悪いが雑魚妖怪のイメージが強かったので本当に予想外
しかし目前に居るのは正しく大妖怪と言える力を感じ取れる
風貌も子供のそれとはかけ離れている 他の小妖怪もリグル同様成長してるのかもしれないな

「初めまして 既に知ってると思うけどパチェナ・ネヴィースチルだ 無所属だよ」

「レイカ・リフューズです 同じく無所属 よろしく」

パッチェさんが冷静に自己紹介したので同じく私も自己紹介する
驚きの連続で色々とボロが出そうだったけど何とか自己紹介中に落ち着きを取り戻した

「話というのは他でもない イレイザーにスカウトしようと思いましてね」
「勝手ながら昨日の内に話は少し聞かせてもらいました クロノスに追われてるようですね」
「どうです? 我々の仲間になればクロノスの脅威も少しは薄れるでしょう」

どうやら盗聴されてたのはパッチェさんの読みどおりだったようだ
流石に蟲までは警戒していなかった…多少群れていれば警戒できたのだが
リグルも慣れているのか警戒されない範疇で聞いていたようだな
今後の教訓にするとしても全ての蟲を警戒するのは厳しそうだ…

「盗聴か…なら何処まで我々の事を知っている?」

パッチェさんが切り出す 私はこういう話し合いは苦手なのでパッチェさんの出番だ
いずれ私だけでも何とか話せるようにならないとな…

「貴女達を見つけたのは昨日初めての事ですのであまり詳しくはありません」

「盗聴手段は?」

「私の能力を使いました それ以上は秘密です」

手の内は明かさない…か
クロノスのレミリアと咲夜が幻想郷での能力と一致してたから
このリグルもおそらく一致しているだろうが…一応他の能力の可能性も考慮しておこう

「では我々をスカウトしてイレイザー側には何のメリットが?」

「貴女方の戦力に期待しての戦力強化及び鋼鬼刃と同じような強力兵器の獲得」

どうやら鋼鬼刃は既に試した後のようだ 相当高く評価されてるみたい
これは美味しい流れ…か? …ん?誰か隠れてコチラを窺っている…
パッチェさんは気づいていないようだが…どうだろ…顔には出さないからな…

「仮にスカウトされたとして我々の扱いは?」

「貴女方の力次第と言ったところでしょう 期待外れなら下っ端になります」

「イレイザーが我々に提供してくれるモノは? クロノスの脅威から守る程度じゃ要らんぞ」

「衣食住は約束しましょう 仕事も渡しますが信頼次第では色んな我侭も通るでしょうね」

これまた実力次第…か 少なくとも最低限暮らせるようにはしてくれるみたいだが
正直衣食住は既に間に合ってる…大したメリットは無い…どうする?パッチェさん…

「ではスカウトを断った場合はどうする?」

「私の事は忘れてもらいます 抵抗するようなら貴女方を消します」

「ふっ…そうか…我からはもう質問無いよ」

パッチェさんは一歩引いて視線を地に向ける

「ではレイカさん 貴女は? 何か質問ありますか?」

今度は私か…チラリとパッチェさんを見るが特に返事は無い 好きにしろって事かな?

「じゃあ…戦力強化って言うけど戦う相手が居なくなったらどうするの?」

「さぁ? 敵が居なくなるというのは考えられませんからね…」

ふむ…殺し屋廃業という考えは無いのか…

「そう…じゃあ組織のボスみたいなのは居るの? 誰?」

「それは秘密です お答えできません」

(むむ…)
「ならあそこで隠れてコチラを窺ってるのは味方?」

「何だ…バレてたの…」

指摘されてすぐに隠れてたもう一人が出てくる 幽香そっくりだが…

「初めまして イレイザー所属、風見幽香よ よろしくね」

やはり幽香か…他にも幻想郷住民と同一存在が点在してそうだな…

「イレイザーの味方でしたか…じゃあ隠れてた理由を聞かせて下さい」

「単に貴女達に興味があったからよ 思った以上にできるみたいね…」

「好奇心は猫をも殺すぜゆうかりん」

おちょくるように幽香を挑発するパッチェさん 何故そこで怒らせるような事を…

「誰がゆうかりんよ 馴れ馴れしいわね」

「サーセンww」

「もう私から質問は無いわ…」

何だか険悪なムードになってきたので質問を切り上げる

「そうですか…それではどうしますか? イレイザーに入りますか?」

笑顔だが目が全然笑ってないリグルが最終確認に入る
ここでパッチェさんが念話で話しかけてきた

<どうする? 入るか? 我としては逆に傘下に収めたいんだが…>

<こっちの傘下になんて入るわけ無いでしょ…何か手はあるの?>

<力を示せば最低でもこの二人は手に入るぞ>
<それに早めにこいつ等に見せ付けてやれば扱いも特別になるだろうよ>
<そしてイレイザーは実力主義 このまま従って入れば我々はリグルに屈服したと同義だ>
<ナメられるよりかは…逆にこいつ等を顎で使いたいってのが我の本音だな>

<リグルに屈服? どうしてそうなるのよ?>

<断ったら消すとか言ってただろ 要するに消されたくなければ使われろって話なんだよ>

<…仲間ではなく道具として見られてるって事か…なら…パッチェさんに任せるわ>
<私は…仲間が欲しくて此処まで来たんだから…道具として見られるのはリフの時の二の舞だ>

<ふっ…決まりだな…仕掛けるぞ!>
「そうだな…お前等が我等の手下になるというなら入ってやっても良いぞ」

「………」 「…は?」

リグルは笑顔で沈黙し 幽香は素っ頓狂な声を上げた

「聞こえなかったか? テメェ等がパシリになるんだったら考えてやらなくも無いぜよ?」

「断る…と言いたいのですか?」

あくまで温厚にいきたいのか若干…いや、かなりヒクつかせながらも笑顔で応対するリグル
だがパッチェさんの挑発が効いてるようで握り拳を隠そうともしない

「いやね 頼んでもいねーのに守ってやるみたいな感じでどうもね〜」
「貴様等雑魚から上から目線されるのが気に入らないわけですわ」
「実力差もわかんねーカスに守ってもらう程こっちは落ちぶれていないんだよね」
「ちょっと盗聴できたからってそれだけで勝ち誇られても困るんですわ」
「大体鋼鬼刃を強力兵器とかぬかしてる時点でテメー等の実力が高が知れてるっていうか〜」
「ぶっちゃけ超絶に期待外れだったのでありがたくお断りします(゚ω゚)」

「………」

皆が沈黙する 見え見えな挑発だけど煽り耐性の低い幻想郷住民には効果絶大だろう
まぁ此処は幻想郷では無いが…リグルと幽香はこの挑発をどう受け取る?

「何?ぐうの音も出ない程なの?もしかして心折れちゃった?NDK?NDK?」

うわぁ 煽られてない私でもむかつくぅ〜
流石にキレるんじゃないかな…
よく見たら幽香の方は拳から血が出ている
それくらいギリギリと握りしめてるという事か マジギレ確定っと…

「…では貴女方には消えていただくという事で!」

二人が隠していた妖力を解放しそれぞれ能力を行使しようとしている
師匠との修行により力の流れが感じ取れる為能力発動のタイミングまで丸わかりだ
速やかに距離を取る

「サイレントフィールド!!」

パッチェさんが結界を張る これは結界の外に結界内の音を漏らさない為のものだ

「んん?何も起きないわよ? ナメるのもいい加減にしなさいよね!」

幽香がパッチェさんに肉弾戦を持ち込むが全て受け流している
師匠と組み手したというのは強ち本当かもしれないな…

「これはただの防音魔法で此処での戦いを外の誰かさんに知られたくないからだよ」
「貴様等だって存在を黒翼に知られたくないだろう?」

幽香を大きく弾いて距離を取ると次の魔法を発動する為に魔法陣を描き始める

「余所見とは余裕ですね!」

パッチェさんと幽香の戦いを見てたらリグルが私に仕掛けてきた
まさか自作の鋼鬼刃で攻撃されるとはね…

「ハッ!」

「ぐっ!? 速いっ!?」

これも修行の賜物か リグルの動きが遅いので簡単に隙を突けた
武器を落とさせて大きく吹き飛ばし 序でに鋼鬼刃を回収しておく

「霊禍嬢! 間違っても殺すなよ!? リレイズミスト!」

魔法陣から白い霧が噴出し採掘場内は霧に包まれる
不思議な事に視界が悪くなるなんて事は無かった

「また意味不明な魔法を! これはなぁんの効果かしらァ!?」

今度は傘装備でパッチェさんに斬りかかる幽香
パッチェさんはそれを素手で受け止めてるがダメージは無いのだろうか?

「これは霧の中に居る全ての生命体が死んでも即座に蘇生する治療魔術」
「お前らが間違って死んじまっても大丈夫なように保険だよ?」

「私等が死んでも大丈夫なように〜? ふざけてるわけ!?」

「幽香 冷静になれ 闇雲に殴りかかっても受け流されるだけだ」

もう能力を隠す気は無いのかここで私に蟲を飛来させるリグル
見た事も無い蟲なので触れたくないな…どうするか…

「霊禍嬢! 火だ! 火出せ!」

「どっちの火よ?」

「複数あるんかい! 弱い方で良い!」

「わかった」

蟲に対して手を構え襲牙の炎を放つ
忽ち飛来してきた蟲達は全滅した…と思ったらすぐに復活!
そういえばパッチェさんの魔術で霧内に居る生命体は即蘇生だったか…

「弱い方でそれか!? 強すぎだ! 殺さぬ程度の火で頼む!」

「今のが最弱火力よ!」

蟲の猛攻を避け続けるが数が多すぎる もう一度焼き払うか?

「チッ…仕方ない! 我に任せろ カースド・ボルケーノ!」

パッチェさんが炎魔術を放ち 蟲を焼き払った
私にも炎が飛んできたが流れを制御して無理矢理外させた

「…今私ごと焼き払おうとしなかった?」

「ヒーリングベール!」

私の問いを無視し幽香とリグルに光を放ったと思うとその光が二人を包み込む
ダメージが無い事にまたしても二人は困惑した

「今度は…何なの?」

「それに包まれてる限り貴様等の傷は癒え魔力や妖力は無尽蔵だ ほら好きなだけ大技使って良いぞ」

クイクイっと手招きして挑発する 流石にもう意味無いと思うが…

「どこまでもナメてるようねっ! ならお望み通り死になさいっ!」

下らない挑発に乗るくらい幽香はキレてるようだ 冷静な判断ができてない
傘の先から巨大なビームが放たれた
しかしパッチェさんは防御の構えを取らない 余裕なのか?

「リフレクトペイン!!」

何かの魔法を発動した直後パッチェさんはビームに飲み込まれた
それと同時に私に激痛が走る 一体…何故…?
まるで私自身がアレを食らったみたいだ…

「ぐっ…!? な、何…?」

「安心しろ 敵のトリックでは無い 我のダメージを霊禍嬢に返しただけだ」

「ふざけないで! 敵に返しなさいよ!敵に! 何で私なのよ!」

「甘えるな! そう都合の良い事なんて無いんだよ! わざとだけど!」

「アンタ…どっちの味方よっ!」

「漫才する程余裕とは私達も舐められたモノねっ!」

どこから呼び出したのかまたも蟲の大群に囲まれてしまった
それを確認しパッチェさんが魔術を発動させる

「よしっ!バインドロック!」

すると私の脚が埋まり地面に拘束されてしまった

「おい! 何で私を拘束する!? 本当にどっちの味方よ!?」

「これも修行だ 我へのダメージを庇いつつ敵を生かしたまま戦闘不能にしろ」
「勿論我は敵の手助けをするから頑張れ頑張れ超頑張れ」

どうやら修行らしい いきなりすぎて面食らう

「そういうのは早めに言ってよね! 裏切られるのは死ぬほど嫌いなのよっ!」

襲牙の雷撃を周囲に放ち 蟲達を行動不能にする
序でに二人に雷撃を放つが傘と蟲にガードされてしまった
距離が開いてる分流石に間に合わないか…

「ふぅ…やっと抜けた…ぁぐっ!? ちょっ…パッチェさん何してるのよ!?」

地面の拘束をようやく解いたが今度はパッチェさんが敵の射程に飛び込み
無抵抗で幽香の連撃を受けている
パッチェさんの魔術で連撃のダメージは全て私に返るのを良い事に防御すらしない

「ほらほらゆうかりんよぉ〜そんなんじゃちっとも効かないぜぇ?」

「クソッ! 手応えはあるのに…何故効かない!?」

思いっきり効いてるから! パッチェさん挑発するなぁ!

「ぐぅっ…と…とにかくパッチェさんと幽香を離さなければ!」

二人の間の空間に狙いを定めてグウィンの圧縮操作能力を使う
空気を拡散させての小さな爆発で引き離す!

「なっ!?」

「うぉっ!?」

上手く引き離せた 空気拡散爆発のダメージまで食らったがまぁ何とか大丈夫だ
複数の連撃よりも自分の攻撃のが食らうって何だかなぁ…

「もう余計な事はしないでよ!パッチェさん! これで終わりよ!」

再び襲牙の雷撃を放つ 先程とは違って距離を詰めての一撃だ これなら間に合う!
雷撃を確認したと同時にパッチェさんが叫んだ

「リグルゥゥウウ!!全力で蟲をガードに回せぇぇっ! ラピッドエラー!」

間に合わないかと思っていた蟲達が突如凄まじい速度で飛行し
ギリギリで雷撃を防いだ 流石に私は呆れ始める

「………パッチェさん?」

「余計な事はしてないよ? 必要な事だよ?」

ぬかしおる

「パッチェさん…お願いだから"邪魔"しないでくれる?」

「修行だっつってんだろボケ ほらテメェ等二人もボケっとしてないでとっとと攻撃しろ」

言われてハッと気づいたのか攻撃を再開する二人
受け流しで私自身に飛んできた攻撃は全て捌いたが
パッチェさんはむしろ当たりに行ってるので余計なダメージが私に返ってくる

「あぁもう! こうなればパッチェさんを拘束させておくしかない! ハァッ!」

グウィンの拡散能力による空気拡散で二人を上手く弾き飛ばし距離を取る
周囲に蟲も居ない事を確認し召喚の準備に入った

「霊禍嬢…召喚を使うのか!?」

「アンタが邪魔だから抑えてもらうまでよ!」
「我が呼び声に応え…現れ出でよ!空龍ッ!」

パッチェさんの背後に次元壁を出しそこから空龍が空を舞う
出現序でにパッチェさんを拉致っておく これが狙いだ
採掘場は広いが天井がある分少し動きづらそうだ…

「空龍!パッチェさんを暫く拉致っといて! そこから棘で援護を頼む!」

<了解>

「おぉっと!? 霊禍嬢! 我が大人しく拉致られておくとでも? メルトニック・ボディ!」

何かの術を発動したようだが何も起こらなかった
甘いよパッチェさん もう邪魔はさせない!

「何!? 術…がっ…っ!? …!!?」

やがてパッチェさんは完全に大人しくなった
悔しそうな顔で私を睨んでくる

「空龍出現時に空龍と私から毒針を撃ち込ませてもらったわ」
「でも安心して 身体が動けなくなるだけよ 死にはしないわ 大人しくしてなさい」

「………」
(くっ…霊禍嬢め…我すら動けなくなるほどの毒を扱えたとはな…今後気をつけねばな…)

「さて…今度こそ…終わりよ……ん?」

パッチェさんの問題が片付き改めて幽香とリグルを行動不能にしようとしたが
見れば二人は構えを解いてそれどころか両手を上げていた
手には何も持っていないし力の行使も感じられない

「………は?」

流石に戸惑い 疑念の声が漏れた

「降参よ…降参 貴女達には敵わないわ…はぁ…」

認めたくないようだが認めざるを得ないといった感じで幽香が負けを認める
リグルも同意見のようだ

「………どういう心境の変化かしら?」

「…不本意とは言えパチェナからのサポートを受けても我々はあしらわれた…」
「圧倒的優位だったのにここまでされちゃ嫌でも実力差を感じますよ…」
「それに死んでも死ねないこの魔法の霧の中じゃ…降参した方が早いです」

大変不機嫌な様子だがリグルが理由を述べてくれた
確かにこの二人よりかはパッチェさんの方を先に何とかすべき戦いだったしな
戦う意思が無い事を確認し空龍を戻す パッチェさんが墜落した

「じゃあ…どうしようかな…」

「私達を殺さないの?」

幽香が意外な事を言う 私はそんなに無慈悲じゃないよ
大体喧嘩売ったのパッチェさんだし…

「殺さないよ…でもそうだな…勝者権限で仲間になってもらおうかな」

「わかりました」

特に反論する事無く承諾された あっさり決めるなぁ…

「反対しないのね?」

「負けたら死ぬのが我々の世界ですから もう我々は貴女のモノです」
「繰り返しますが降参したのは蘇生してしまう霧があったからです」

「なるほど…もう死んだも同然で…霧が無ければ捨て身で特攻してたと…」

「そういう事…じゃあこれから私達は貴女の部下って事で決まりね」

「ん…それは良いけどイレイザーは活用したいんだ…だから私達がスカウトされたという形にしましょ」

「……わかった…でも私達に勝った以上貴女は私達の上司よ そこだけは譲れないわ」

「変に上下関係拘るなぁ…まぁこれからよろしくね」

「はい ところでパチェナはどうするんですか? 動けないようですけど…」

毒で動けないパッチェさんを見ると早く治してくれという目で私を見つめ返す

「暫く放っておこうか」

直るまで放置が決定 この時幽香とリグルは大変嬉しそうな黒い笑顔を浮かべてました

その日の晩 逆襲のつもりか寝ている間にパッチェさんに激しく悪戯され
またシーツをビショビショに濡らしてしまった もう着替えないよ…ふざけんな…




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あとがき

第三十三話終了

戦闘回 う〜ん…やはり難しい…
しかも実力差がでかい分イレイザー二人が大妖怪(笑)なレベルになってるのが…
禍たん修行で滅茶苦茶強くなってるからねぇ〜
パッチェさんという妨害が居てようやく戦いになったというか修行になったというか
まぁ書いてて楽しかったではあります パッチェさんは本当に万能キャラやでぇ…

イレイザーに入団…いや入隊? ともかく入りました
ここからどうしましょうかねぇ…そろそろクロノスと決着つけたいですな
決着つけたらもうこの世界はおさらばかねぇ…?
まぁ適当に考えながら行き当たりばったりで書いていきましょ
それよりも折角の部下を有効活用したいですなぁ

それじゃ何時まで続くか…完結できるかどうかは知りませんが 次話あとがきで会いましょう


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